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はりねずみが眠るとき

昼寝をしながら本を読み、ビールを空けて料理する日々

おでんとカレンダーとふたりの母と

久しぶりに義母とゆっくり電話でしゃべり、盛り上がった話題がある。

「最近の袋は、頑丈にできているのよねえ」と、義母。

「わかります。わたしも今おでんを煮ているんですけど、ちくわやボールの袋が全然開かなくて、結局ハサミで切りました」と、わたし。

「何でもしっかり封をしないといけない時代なのかしらねえ。若い人の指なら開くんでしょうけど」

「ですねえ。何年か前までは、わたしも簡単に開けられたんですけど」

「この頃、ハサミもゆっくりじゃないと使えなくなって」

 

なかなか開かない袋を前にしたときに、いつも義母を思い出す。

義母は、3月で87歳になる。パソコンもケータイメールも使いこなし、長く短歌を続けている。しっかりした元気な女性だが、身体の老いはもちろんやってくる。50代後半のわたしは、自分の老いを感じながらも、親の世代の老いを見つめる歳でもある。

 

年明けに東京の実家に挨拶に行ったときも、母の指先の老いを見つめた。

夫が作ったカレンダーを渡すと、84歳の母は、「きれいな写真ねえ」と目を見張りながらも、なかなか次の月へとページをめくれない。

わたしはおしゃべりしながら、しかし手を貸さず、のんびりと待った。

母は何度も失敗しながら、着実にページをめくっていく。2枚めくるとちゃんと戻って、「パレルモってどこの国?」などと訊く。老眼のわたしには読めないほどの小さな文字が、白内障手術を去年一昨年と両眼終えた母にははっきりと読みとれるらしいと知る。

 

義母も母も、どこかが痛い、あれが不便だと言いつつも、元気に暮らしている。

ありがたいことである。

夫婦ふたりの食卓なのに、大鍋いっぱいにてしばらく食べることになるおでんです。美味しかったけど。

夫のカレンダー。2月は、パリの地下鉄のホームです。

 

COMMENT

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  1. ユミ より:

    ご主人のカレンダー素敵ですね。
    パリで地下鉄に乗りましたが、芸術的な能力で、こうも素敵になるんですね。
    私が行ってみた地下鉄の駅とは、これはもう別世界です。
    お母さまのカレンダーをめくる動作、よ~くわかります。
    この歳にして指先が思うように動かない、細かい作業が苦手なったって実感しています。
    まあ、同じように言う友達もいるので、きっとこういう風にして歳をとっていくんだろうなって思っています。

    1日遅れになりましたが、
    お誕生日おめでとうございます。
    お義母様からのストール、上品んなお色で長く使えそうですね。

    さえさんと一緒のカレンダー、2月はダウンベストでしたね。

    • さえ より:

      ユミさん
      パリの地下鉄、ほの暗くてちょっと怖い雰囲気もありましたよね。
      この駅、どこだったっけ? と夫と話したんですが、結局わかりませんでした。
      4番線でシテ島に行った時だと思うんですが、記憶があいまいで。
      母のこと、たまに会うから余計にいろいろゆっくりになっていることを感じます。
      でも確かに自分もそうなんですよね。少しずつ少しずつ、歳をとっていくんですよね。

      ありがとうございます♩
      義母にもらったストール、ちょっと買い物とかにもつけています。アクセントに、そして暖かく、運転中首回りのUVカットにもなります。

      一緒のカレンダー、ダウンベストのグリーンがパッと目を惹きますね!

  2. hanamomo より:

    こんばんは。
    さえさんのブログを読んで私も思いました。
    最近袋はすぐに鋏で切っています。

    東京のおかあさまのカレンダーの話も、そうそうとうなづきました。
    最近文庫本を読んでいても前のようにすぐにめくれなくなっている自分に
    気づきました。
    こうやって少しずつ老いがやってくるんだな~と思いました。

    二月も四日過ぎましたね。
    今夜はわがやもおでんでした。
    大根を丸ごと一本入れましたが、やわらかくて美味しいですね。

    • さえ より:

      hanamomoさん
      おはようございます♩
      hanamomoさんも、ですか~
      道具は便利に使わなくちゃと思いつつ、以前よりできなくなってきていることと向き合うことが多くなりました。
      母は、もう本は読んでいないかも知れないなあと思うほどに、なかなかめくれなくて……。
      1月が行ってしまい、2月もすぐに去っていくのでしょうか。
      おでん、わたしも大根1本入れます。玄関の保冷庫でひと月置いておいた大根は、味が染みるのに時間がかかりましたが美味しかったです。

PROFILE

プロフィール
水月 さえ

随筆屋。

1962年東京生まれ。

2000年に山梨県北杜市に移住。

夫が営む広告会社で経理を担当。

2012年から随筆をかき始める。

妻であり、母であり、主婦であること、ひとりの人であることを大切にし、毎日のなかにある些細な出来事に、様々な方向から光をあて、言葉を紡いでいきたいと思っています。

『地球の歩き方』北杜・山梨ブログ特派員

 

随筆かきます。

 

依頼はメールフォームからお願いします。

I answer only Japanese.

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