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はりねずみが眠るとき

昼寝をしながら本を読み、ビールを空けて料理する日々

だんだん鴨になっていく

人は、「だんだんと」に誤魔化される。

朝目覚めて、そう思った。夢を見たのである。

 

バスに乗って、市役所のようなところに向かっている。現実には行ったことのない場所だ。夕暮れが近いのか周囲の景色はセピア色。ちょっとセンチメンタルな気分になっていた。すると、市役所らしき建物が遠くに見えた途端、バスはボートに変わった。市役所へ続く黒っぽい石で作られた波のない浅瀬をボートで進んでいく。バスにはほかの乗客もいたように思うのだが、ボートにはわたしひとりだ。運転手もいない。だが向かう場所は目の前に迫っているので不安はない。ただ漠然と帰りはどうするのかな、と考える。すると突然市役所の前でボートはUターンし、もと来た道の方へ向かい始める。夢のなかである。帰りのことを心配した途端、帰り道になったようだった。そしてボートは、鴨に変わった。わたしは鴨の背中に乗り、湖のなかに身体半分を沈め、どこかへ帰ろうとしている。水は冷たくなく、身体が濡れているという感覚もなかった。

 

目が覚めて考えた。最初から鴨に乗って湖に身体を半分沈めながら渡れと言われたら、そんなことできるわけがないと鼻で笑うのが落ちだっただろう。しかし、必要とあらばバスには乗る。ひとりでボ-トなど乗りたくないが、百歩譲ってボートならまだ乗ってもいい。そして。え? 鴨に乗らないと帰れないの? じゃ、しょうがないか、と千歩譲ったように思う。

 

だんだんと。

だんだんと変わっていくことで、違和感なく、あるいは小さな違和感でそれを受け入れていく。これって、じつはとても怖いことだなと思った。

百円貸してが、千円貸してになり、一万円貸してになる。詐欺のカモになるときも、こんな感覚なのかなと。いや、決してカモネタの駄洒落ではなく。

CIMG3731お隣り韮崎市の韮崎駅近くの川には、たいてい鴨がいます。

CIMG3325この小さな背中には、乗れそうにもありません。

CIMG3733もちろん鴨の方だって、お断りだって言うでしょうけど。

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PROFILE

プロフィール
水月 さえ

随筆屋。

1962年東京生まれ。

2000年に山梨県北杜市に移住。

夫が営む広告会社で経理を担当。

2012年から随筆をかき始める。

妻であり、母であり、主婦であること、ひとりの人であることを大切にし、毎日のなかにある些細な出来事に、様々な方向から光をあて、言葉を紡いでいきたいと思っています。

『地球の歩き方』北杜・山梨ブログ特派員

 

随筆かきます。

 

依頼はメールフォームからお願いします。

I answer only Japanese.

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