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はりねずみが眠るとき

昼寝をしながら本を読み、ビールを空けて料理する日々

サイドミラーのなかに

夫を迎えに韮崎駅に行くのは、たいてい夜である。

駅までの道は田舎なので真っ暗で、ライトを消すと何も見えなくなる場所もある。そんな道を走り、着いた駅はまぶしいくらい明るく、そのギャップに人の暮らしの不思議を感じる。そして思い出す。川崎で暮らしていた頃、やはり同じように駅まで夫を迎えに行ったときのことを。

東横線の日吉駅はここよりはずいぶんと街だったが、夜の匂いは似ていたように思う。ただ、駅の階段を上った上の広場に『虚球自像』というオブジェがあり、大きな金属の球なのだが、何かパワーが秘められている気配がしていた。

 

駅前のロータリーに車を停め、待ち時間に本を開くこともある。だが、ぼんやりとサイドミラーを眺めることも多い。そこには、日吉駅とは違った風景がある。

日吉の駅前には、常に人が歩いていた。東京のように大勢ではないが、始終電車が停まり人を吐きだしていく。しかし、韮崎駅には30分か1時間に1本しか電車は停まらない。静まり返った時間と人が動き出す時間とにくっきり分かれている。動の時間はまるで長いこと閉まっていた鳥かごの戸が大きく開けられ、いっせいに鳥たちが羽ばたいていくかのようだ。

夜の闇と駅の灯り、鏡のなか逆さに映り、小人ほどの大きさでうごめく人たち。歩くと頭が上下する。その上下にもそれぞれのスピードがあり、個性が見受けられる。夫が歩く姿は、遠目に見てもすぐにわかる。上下のスピード、歩幅、体格と姿勢、鞄の持ち方などなど。小人がどんどん大きくなってすぐ近くまで来ると、車のブルートゥースが反応してピコッと可愛らしい音が鳴る。

 

そんな鏡のなかにある光や闇や匂いや音なんかと、日吉駅の『虚球自像』とが今もどこかでつながっている気がするのだ。たがいに何かをとりかえたり、ともに何かを消し合ったり何かを生んだりしているかのような。

CIMG1983助手席側のサイドミラーを、ぼんやり眺めることが多いです。

CIMG1987韮崎駅前のロータリー。建物は、韮崎市民交流センターNICORI。

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  1. 悠里 より:

    韮崎駅、近くには、良く行くんですが寄ってみたこと、実は一度も無いんです。親戚や知人、市民交流センターなどには、寄せて貰っているのに…ですね。
    私は、竜王駅前に車を駐車し、出掛けます。どちらも片田舎の駅ですが、まだ甲府に近いので乗降客は、竜王駅の方が多いかも知れないですね。
    不審者も最近多いので、夜間のおでかけ、注意してください。

    • さえ より:

      悠里さん
      使う駅って、ほんと限られてきますよね。わたしは竜王駅はほとんど使いません。安藤忠雄デザインなんですよね~竜王の方が人は多そうですね。
      甲府まで行くと車が多くって駐車場に四苦八苦するので、甲府駅に行くのなら電車で行きたいです。
      気をつけます。ありがとうございます♩

PROFILE

プロフィール
水月 さえ

随筆屋。

1962年東京生まれ。

2000年に山梨県北杜市に移住。

夫が営む広告会社で経理を担当。

2012年から随筆をかき始める。

 

妻であり、母であり、主婦であること、ひとりの人であることを大切にし、毎日のなかにある些細な出来事に、様々な方向から光をあて、言葉を紡いでいきたいと思っています。

 

『地球の歩き方』北杜・山梨ブログ特派員

 

随筆かきます。

 

依頼はメールフォームからお願いします。

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