6月に写真家デビューした夫が、依頼されてカレンダーを作った。
今年は居間で、仕事部屋でそのカレンダーを楽しんでいる。
依頼されたテーマは、「何でもない日常の大切さに思いを馳せるような人と風景の写真」だ。スペイン、イタリア、フランスを旅してこれまで撮りためた写真から12枚+1枚を厳選した。
その表紙には「Life is Fun」とある。
スペインはコルドバ。夕食をとったリストランテ『エル・チェラスコ』で、サーバントしてくれた男性が口にした言葉だ。
「人生、楽しまなくちゃ!」というような意味だろうか。
2013年のことだから5年ほど前になるが、夫のなかでその言葉は、ずっと消えることなく温かな光として残っていたのだろう。
歳を重ねるにつれ、何でもない日常の大切さを実感することが多くなった。
朝目覚めて感じる陽の光。熱い一杯の珈琲。家族ととる食事。小さな一輪の花。洗い立てのセーター。やわらかな雨の音。帰宅するときに見える灯り。
そんなものたちのひとつのように、カレンダーを使う人が、部屋で、会社のデスクで、ふと目にしたときホッとするような一瞬を感じてくれたらうれしい。
「Life is Fun」のタイトルの下にはバルセロナ、プラサ・ノバの朝。
1月は、パレルモのバッラロ市場の写真です。
随筆屋。
Webライター。
1962年東京生まれ。
2000年に山梨県北杜市に移住。
2012年から随筆をかき始める。
妻であり、母であり、主婦であること、ひとりの人であることを大切にし、毎日のなかにある些細な出来事に、様々な方向から光をあて、言葉を紡いでいきたいと思っています。
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