買い物のついでに、駅前の本屋に寄った。
本屋の文庫本コーナーで、ふらりふらふら歩くのは至福のときである。
例え欲しい本が見つからなくても、あの新刊が文庫化してるとか、ああ、こんな本もあったなあというあの本やこの本との出会い再会の場所なのだ。
ひとしきり時間を過ごし、出口に向かって歩いていくと、あれ? と思った。いつも新刊が並べられているコーナーが、手帳一色になっていたのだ。
「ああ、そうか。4月から新年度がスタートするんだった」
子どもたちも家を出て、春休みという感覚もなくなった。会社は5月末決算なので、新年度は6月始まりだ。手帳も、12月、年末に買ったものを使っている。
だからすっかり忘れていた。学校や会社は、4月から新年度を迎えるところが多いということを。
「春、なんだよなあ」
一瞬だけ立ち止まり、並べられた手帳たちを眺め、そこにあふれる春の空気を吸い込んだ。
季節は、知らず知らずのうちに巡っていくけれど、それを感じる心は自分のなかにある。やわらかな陽射しや桜の開花だけではなく、本屋に並べられた手帳にだって、春を感じることはできる。そう思って見回したら、様々な春がわたしの中に飛び込んできた。
わたしの手帳です。サボテンに成りすましているはりねずみ。切手の動物バージョンでも主役でした。人気なんだなあ。はりねずみグッズはこちら。
本屋さんの近く、JR韮崎駅前の桜が少しずつ花開いていました。
随筆屋。
Webライター。
1962年東京生まれ。
2000年に山梨県北杜市に移住。
2012年から随筆をかき始める。
妻であり、母であり、主婦であること、ひとりの人であることを大切にし、毎日のなかにある些細な出来事に、様々な方向から光をあて、言葉を紡いでいきたいと思っています。
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