柿渋染め酒袋布で作ったという、鞄を台が原市で見つけた。
柿渋色の濃淡を利用したパッチワークのようになっていて、ひと目で気に入った。
A4のファイルがすっぽり入る大きさで、重宝もしている。
その鞄屋さんで初めて聞いて知ったのだが、造り酒屋では、もろみを入れてお酒を絞るときに「酒袋」という手織木綿(帆布)を使用するそうだ。
さらに袋の耐久度を増すために、柿渋につけて使うのだという。防腐、防虫効果も得られ、昔ながらの酒蔵では、柿渋染め酒袋を使う「槽搾り(ふなしぼり)」と呼ばれるやり方がスタンダードなのだそうだ。
強度と防腐、防虫などが目的だから、染め色も布によってまちまちだし、何度も染めるというから濃淡も違ってくる。
その一枚一枚違う風合いの布をデザインし、鞄に仕上げる。
素敵な仕事だなあ、と思った。
「壊れたら、無料で修理しますよ」
同年代くらいだろうか。鞄屋の男性は、笑顔で言った。
槽搾りをした日本酒は、機械で絞るよりも、雑味のない澄んだ味わいになるという。
酒蔵であっても機械化は進んでいるらしいが、機械にとって代わることのできない工程を、今も続けている人々がいる。
色の違いを利用したパッチワークデザインです。
裏返すとまた、違った雰囲気。
この修理痕も、酒袋だったときに縫われたものだそうです。
なかは普通の布でていねいに仕上げてあります。ポケットも大きいのが4つあって便利。
こちらは、手話教室のNPOのバザーで買った帽子。新品でワンコイン。
同じくバザーで。帽子と鞄、好きだね~と言われます。
随筆屋。
Webライター。
1962年東京生まれ。
2000年に山梨県北杜市に移住。
2012年から随筆をかき始める。
妻であり、母であり、主婦であること、ひとりの人であることを大切にし、毎日のなかにある些細な出来事に、様々な方向から光をあて、言葉を紡いでいきたいと思っています。
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