12月。今年は仕事納めを少し早く迎えた。
というのも、『地球の歩き方』のホームページがリニューアルし、記事を更新できない期間が長かったのでノルマが減ったこと。
そして、今週からひと月ほど、スペインを旅することが決まっていたからだ。
「田舎暮らしの楽しみ方」シリーズも、28回を数えた。
始めたときには、こんなに回を重ねるシリーズになると思ってはいなかった。
田舎暮らしといったって日々普通に暮らしているだけで、特別なことは何もしていないと思っていたからだ。
けれど回を重ねるうち、ごく普通に日々暮らしているそこここに、小さな特別が転がっていることに気づいていった。
田舎だから、山が近くに見えるのはあたりまえ。しかし、そこにはあたりまえじゃない輝きを放つ一瞬がある。
毎年食べている近所の田んぼのお米。田園の広がる風景。大釜で大豆を茹でこぼして造る甲州味噌。瑞々しい採れたての野菜や山菜。
心がささくれ立ったときに、ふと目にした草花。うまくいかないと落ち込んだときに、目の前に現れた蝶。野鳥たちのさえずり。
「田舎暮らしの楽しみ方」シリーズを記事にするために、クローズアップして見つめ直した身近なものたち。
そのひとつひとつに、機会をもらった。あたりまえにそこにあるものに、目を向ける時間を。
旅先では、吟行での先生の教えを心に留めて、歩こうと思う。
・心が動いたものを一瞬にして捉まえる。
・大きな風景にばかり気を取られず、足もとや小さなものにも目を向ける。
・その土地では、そこに住んでいる人の気持ちになる。逆に自分の暮らしている土地では旅人の気持ちになる。
・記憶に残そうと心に決めて臨む。
春の山。春の山の季語には、季語には「山笑う」もありますね。
春夏秋冬で一句ずつ載せて、北杜市の魅力を伝えました。
春の山四方指したる道しるべ
月見草の苗をいただいて、花ひらくさまを見られたことに感謝です。
闇に咲き闇をまとはぬ月見草
翌朝の、このピンク色にも心打たれました。
秋深し。まだまだ、この季語は深く理解できていないように思います。
ぐい呑みの小さき水平秋深し
ぐい呑みは、ひとつひとつの焼き物の味わいとじっくり向き合える器かも。
ウラナミアカシジミ。蝶の名前はなかなか覚えられませんが、様々な蝶が庭に遊びに来ます。
地上から二センチの空冬の蝶
スジボソヤマキチョウか、ヤマキチョウ? 調べても断定が難しい蝶も。
俳句を詠むには、ここの暮しはほんとうに恵まれた環境だと思います。
スペインに行ってから、もし時間があれば年末やクリスマスの様子を記事にしたいと思っていますが、ムリはしないつもりです。
随筆屋。
Webライター。
1962年東京生まれ。
2000年に山梨県北杜市に移住。
2012年から随筆をかき始める。
妻であり、母であり、主婦であること、ひとりの人であることを大切にし、毎日のなかにある些細な出来事に、様々な方向から光をあて、言葉を紡いでいきたいと思っています。
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