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はりねずみが眠るとき

昼寝をしながら本を読み、ビールを空けて料理する日々

25年前を思い出してみました

きのうは1月17日。阪神淡路大震災から25年が経つ。

夫が会社を興したのは8月。その年、末娘が10月に生まれ、家族5人川崎に住んでいた。大震災は、その翌年が明けた1月に起こった。

その頃のことを、思い出してみようと思う。

 

朝のうちに、神戸市東灘区に住む夫の両親とは連絡がとれた。その頃にはまだ珍しかった携帯電話を夫が持っていて、家電よりつながりやすかったらしい。家のなかはめちゃくちゃだがケガはないとのことでホッとする。

わたしは、子ども(のうちの誰か)が熱を出していて病院に連れて行き、そこから公衆電話で義母の声が聴けた。

水が出ない。電気がつかない。寒いのでたくさん着込んでいる。避難所ではなく家にいる。フクちゃん(犬)がいない。そんな話をしたと思う。

わたし自身は、テレビの映像を観ても、しばらく頭に入ってこなかった。目も頭も心も、理解することを拒んでいたのかも知れない。

 

末娘はまだ3時間おきに母乳を欲しがり、首も座るか座らないか。1年生の息子と4歳の娘。夫は仕事が忙しく毎日のように帰宅は夜中になり、ひとり神戸に帰ることも増えた。

いちばん怖かったのは、風呂の時間だ。

3人の子どもたちを順番に風呂に入れ、赤ん坊を裸で抱いている自分。今、神戸のような地震が起こったらどうしよう。この裸の無防備な子どもたちをいったいどうしたらいいだろう。守れるだろうか。

多くの人が大切な人を守りたいと思いながらも果たせず苦しんでいる姿が浮かんでは消えて頭から離れず、毎日、風呂の時間になるたびに怖くて怖くてしょうがなかった。

実際にその場にいた人の怖さを思うと、想像が追いつかない。

 

25年が経ち、赤ん坊だった末娘は、25歳になった。

神戸の家は半壊で住みながら直すことができ、ケガをしたフクちゃんはそのケガがもとで亡くなった。

今はひとり風呂に入るとき、怖いと思うこともない。

こうして多くのことを忘れていくけれど、あのとき子どもたちを守りたいと強く思い、だからこそ怖くてしょうがなかったことはたぶんずっと忘れることができない。

 

震災で亡くなられた方のご冥福をお祈りします。

写真は、ポルトガルリスボンの「カルモ教会」です。1755年の大地震で倒壊した石造りの教会跡が保存されています。

屋根を失くした教会が、青く抜ける空を見上げているかのようです。

COMMENT

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  1. ぱす より:

    こんにちわ。
    さえさんの、あの日の一日を読ませていただきました。
    東灘も、被害が特にひどかった地域ですよね。
    ほんとに、みなさまご無事でよかったです。ご主人様もほっとされたことでしょう。
    ただ、愛犬フクちゃんは、かわいそうでしたね。

    家の中のどこに居れば安全か、ずっと考える日々でしたね。
    しばらく、家具のない部屋で、親子が寄り添って寝る毎日でした。
    靴下を履いて寝る習慣もあのことがきっかけでした。

    でも、そういう気持ちが時が経てば薄らいでくるものですね。
    小さかった子供たちも、どこまで実感できているか・・・。
    そういうことを思い正せる日でもありますね。

  2. さえ より:

    >ぱすさん
    読んでくださってありがとうございます。
    東灘区は被害が大きな地域でしたが、夫の実家は、JRより山側で、全壊には至らなかったようです。
    フクちゃん、びっきーに似ていた記憶があります。かわいそうでした。
    どこにいれば安全か、考える日々。
    ほんとうにそうでしたね。
    両親は、布団に入るときも、しばらくはパジャマを着なかったようです。
    薄らいでいく震災の記憶。
    それを思い正す日にしていかなくちゃいけませんね。

PROFILE

プロフィール
水月 さえ

随筆屋。

Webライター。

1962年東京生まれ。

2000年に山梨県北杜市に移住。

2012年から随筆をかき始める。

妻であり、母であり、主婦であること、ひとりの人であることを大切にし、毎日のなかにある些細な出来事に、様々な方向から光をあて、言葉を紡いでいきたいと思っています。



『地球の歩き方』北杜・山梨ブログ特派員

 

*このサイトの文章および写真を、無断で使用することを禁じます。

 

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