東京では、1年ぶりになる友人とランチした。

東京駅前の『ＫＩＴＴＥ』の1階で11時。1年ぶりになったが、待ち合わせはいつもと同じだ。

近況をとりとめもなくしゃべっているうちに、話はあちこちに流れていく。

「お母さん、あれどこにある？」

家族にそう聞かれて、たがいに「あれ」がきちんと探し当てられるという話になった。だがその探し当てる経緯が、ふたり大きく違っている。

彼女は、片づけ上手で整理整頓が好き。だから、「あれ」が置いてある場所がすぐにわかる。

一方わたしは、片づけられない女オリンピック金メダリスト有力候補（笑）なので、そうはいかない。だがミステリー好きのわたしは、家族ひとりひとりの性格、行動を読み解き、「あれ」が置いてある場所を突き止める。

そんな違いはあれど、ふたりとも家族にそうやって頼られている。不思議だ。

家族とか、母親とか、夫婦とか、そういうものの不思議が、彼女としゃべっていると不意に垣間見えるときがある。

しかし、それを凝視したりせず、ふたたびとりとめもなくしゃべり始める。それがなんとも楽しい。

ところで、冬のあいだずっと探している夫のベスト（背広のなかに切る薄いタイプ）は、いったいどこにあるのだろう。ずっと探しているのだがどこにもない。

そもそも、存在していたのか？　という疑いが、濃厚となっているこの頃だ。

『ＫＩＴＴＥ』の5階にある宮崎料理『万作』で、宮崎堪能御膳を。11時に待ち合わせると、どこのお店でもたいてい予約なしでランチできます。

焼き鳥、鶏料理のお店なんですね。炭火焼のしっかりした味わい。