金曜、今年初めての手話サークルがあった。
NHK『みんなの手話』は観ていたものの、2週間のあいだ手話に触れていない。手の動きがすっかり読み取れなくなっていて、唖然とした。
それと同時に、ああ2週間前は少しは読み取れるようになっていたんだ、とぼんやり考える。
覚えていたはずの自分。覚えたことを忘れた自分。覚えていたかどうかも思い出せない自分。こりゃ最初っからやり直しだなとひらきなおる自分。
そんな自分があっちに行ったりこっちに来たり。ますます読み取れないわ、手は動かないわ。これぞ「正月ボケ」と変に納得したりもする。
というのも、ほかのメンバーもいつになくキレが悪い。失敗しては笑い、笑っては失敗しを繰り返す。それで安心してはいけないのだが、みんな同じだと思うとホッとするのは自然なこと。落ち込むよりは、今年もみんなと一緒にがんばろうという気持ちになった。
ただひとつ後悔したのは、「お正月はどうしてた?」の問いに、いちばん簡単な例文「実家に帰った」と答えてしまったことだ。実家に帰ったのも事実だけれど、ほんとうはこう答えたかった。
「子どもが3人東京で暮らしてるんだけど、長男と末娘は、仕事で帰ってこなかった。長女は旅行に行って帰ってこなかった。夫婦ふたりのとっても静かなお正月だったんだ」
これがどうにも難しく思えて、簡単な方を選んでしまった。
教えてもらいながら、言いたいことをきちんと表現すればよかった。言葉にしたいと思ったことを表現していかないと、たぶん伝えられるようにはならない。
手話でもエッセイでも、難しそうだからとあきらめず、言葉にしたいと思ったことを表現していこう。そんなことを思った手話初めだった。
随筆屋。
Webライター。
1962年東京生まれ。
2000年に山梨県北杜市に移住。
2012年から随筆をかき始める。
妻であり、母であり、主婦であること、ひとりの人であることを大切にし、毎日のなかにある些細な出来事に、様々な方向から光をあて、言葉を紡いでいきたいと思っています。
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