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はりねずみが眠るとき

昼寝をしながら本を読み、ビールを空けて料理する日々

東雲の空

何日か前のことだ。

早朝6時半、エンジンをかけに外へ出ると朝焼けがきれいだった。まだ夜が明けきる前の空。夕焼けとはまた違った趣きだ。

それを見て、空の写真辞典のような本『空の名前』(光琳社出版)を開いた。そして、夜が明ける頃の空にはいくつか名前があることを知った。

時間順に並べると、こうなるらしい。

 

暁(あかつき)―― 太陽がのぼる前のほの暗い頃。

曙(あけぼの)東雲(しののめ)―― 東の空が明るくなってきた頃。

朝ぼらけ―― 曙より、少し明るくなった頃。

有明(ありあけ)―― 月がまだ空に残っていながら夜が明けようとする頃。

朝まだき―― 夜の明けきらない頃。

 

わたしが眺めたのは、東雲くらいの空だろうか。

しののめ。不思議な読み方だ。

古代の住居では、篠竹を粗く編んだ網目から明りをとっていて、それを「篠の目」と呼んでいたそうだ。夜が明けると「篠の目」から明りが差しこむ。そのしののめという音だけが残り、東の雲という当て字が使われたという。

 

硝子の窓などない時代。明りをとるための窓代わりに壁を粗く編み、夜明けの光にその名をつけて呼ぶようになったなど、今の世からは想像もつかない。

空は、その頃と変わらないのだろうか。それとも違う色をしていたのだろうか。

年齢のせいか未明に目覚めてしまうことの多いこの頃。カーテンのない天窓から朝の光が差し込むと、しののめ、とつぶやき微笑んでいる。

CIMG4224家の前の道から撮った風景です。赤松が風に揺れていました。

CIMG4226こんなに赤く見えることって、珍しいです。

CIMG423010分もするともう赤みは消え、薄青い冬の空が広がっていました。

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  1. ぱす より:

    こんばんわ。
    刻々と変わる夜明けの空。
    言葉もこれだけあるのですね。
    日本語が美しいと言われるのはこういうところですね。
    何分ごとの空が様々な言葉で表されるなんて、素敵です。
    東雲町って、よく町名にありますよね。こちらにもあります。
    読めませんでしたが、それで覚えました。

    先日、テレビで「木漏れ日」ってフランス語にはないと
    、それに該当する訳が見つからない。
    好きな日本語と、そのフランス人女性が言っていました。
    光ひとつにもいろんな表現がある。
    日本語の奥の深さに、気づかされました。

    • さえ より:

      ぱすさん
      フィンランドの大胆な柄や色彩にも魅かれますが、明け方の空の名前がこれだけあるのって、日本の淡い色彩を好む文化や繊細さを感じますよね。
      東雲は、苗字にもあって、小説なんかではよく出てきて読み方は知っていました。地名にもあるんですね。
      「木漏れ日」フランス語にはないんですか。
      英語にない日本語もいっぱいあるみたいですよね。何年か前に2週間ステイしたオーストラリア男子に「おつかれさま」と声をかけたら、英語ではない表現のようでした。

PROFILE

プロフィール
水月

随筆屋。

Webライター。

1962年東京生まれ。

2000年に山梨県北杜市に移住。

2012年から随筆をかき始める。

妻であり、母であり、主婦であること、ひとりの人であることを大切にし、毎日のなかにある些細な出来事に、様々な方向から光をあて、言葉を紡いでいきたいと思っています。



『地球の歩き方』北杜・山梨ブログ特派員

 

*このサイトの文章および写真を、無断で使用することを禁じます。

 

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