洗濯物を干していて、不意に生きているんだなあと思った。
汗をかいて汚れて、それを洗い流して。
洗ってしまえばきのう着ていた服のことを忘れていくように、きのう持っていた感情ももうすでに憶えていない。
むらむらと意地悪したくてたまらなくなったことも、むやみやたらと優しい気持ちになったことも、どんどん忘れていく。
それでも胸の奥底に消えない何かがあって、シミのように広がったり、光を放ったりしている。だから、人間って面倒くさい。
5月の風に気持ちよく乾いた洗濯物を、たたむ。
明日は、何を着よう。
洗濯物を干したウッドデッキ。
ツルニチニチソウが、やわらかな紫の花を咲かせています。
モミジは、赤く小さなプロペラをつけて。
草取りを終え、待ってましたとばかりに伸びてきた茗荷たち。
ウッドデッキの下には。けろじ、いいとこ見つけたね。
随筆屋。
Webライター。
1962年東京生まれ。
2000年に山梨県北杜市に移住。
2012年から随筆をかき始める。
妻であり、母であり、主婦であること、ひとりの人であることを大切にし、毎日のなかにある些細な出来事に、様々な方向から光をあて、言葉を紡いでいきたいと思っています。
*このサイトの文章および写真を、無断で使用することを禁じます。
管理人が承認するまで画面には反映されません。