トイレの一輪挿しに活けた庭のローズマリーと吾亦紅に、日々癒されている。
一輪挿しは四角い鉄細工で、片側にこれまた四角い穴があいた風変わりなもので、何年か前に渋谷を歩いていてたまたま入った雑貨屋で目に留まった名前も知らないアーティストの作品だ。
一輪挿しの形が変わっているせいか、挿すのも工夫が要り、うまくいかないことも多い。
葉は横に長く流し、花は短めに切るとたいてい落ち着くので、ローズマリーの葉と合わせた吾亦紅も、斜めに寝かせるような形で挿した。
「難しいなあ」
ひとり、ため息をつく。
センスがないのだ。
夫は華道の先生の息子なので、あまりにひどいと指摘されることもあるが、しかし、ローズマリーと吾亦紅の組み合わせは気に入ったようだ。
ところが翌日の夕刻、トイレに入って、あ、と思う。
ローズマリーも吾亦紅も、陽の光りに頭をもたげていた。
活けたときの不自然さとは、まるで違う。
素敵に生き生きとした姿に、変わっている。
生きているんだなあと、ハッとした。
花々はもの言わず、こんなふうに小さな驚きを暮らしのなかに、そっと差し出してくれるのだ。
頭をもたげてきたのは、この子たちです。
もう一つのトイレは、最初からまっすぐにピン。
こちらは、職場でミニ胡蝶蘭を作っているという若い友人にいただいた鉢植え。
葉っぱもリボンを束ねたみたいで、可愛い♡
キッチンに置いて、楽しんでいます。
随筆屋。
Webライター。
1962年東京生まれ。
2000年に山梨県北杜市に移住。
2012年から随筆をかき始める。
妻であり、母であり、主婦であること、ひとりの人であることを大切にし、毎日のなかにある些細な出来事に、様々な方向から光をあて、言葉を紡いでいきたいと思っています。
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