会社の研修で、車椅子ゴミ拾いを体験した。
NPO法人『D-SHiPS32 』が運営するプロジェクト「車いすスポーツGOMI拾い」は、参加者が車椅子に乗り、街のゴミ拾いをするスポーツだ。
参加者は21名の社員全員。くじ引きで3名と4名の6チームに分かれて競技した。
まずは車椅子の乗り方、車椅子の押し方などサポートの仕方を室内で練習。車椅子をこぐ際の手の形や狭い場所でのターンの仕方、段差がある場所で車椅子を押すときのコツなど、全員が車椅子に乗り、そして車椅子を押した。
それからチーム別に街に出て、約1時間ゴミ拾いをした。
10分ごとに乗る人、サポートする人、監督と役割りを変えていく。拾ったゴミの重量のほか、ポイントに加算されるのは、バリアフリーの場所、バリアフリーではない場所を地図上にチェックし、改善する方法などを思いついたら記入。ミッションもある。カフェで珈琲を買う。コンビニのガラスケースのドアを開け最上段の飲み物を買う。ひとりで入れる居酒屋を探す。障がい者用の駐車スペースを探す。障がい者用トイレに入る。自動販売機の最上段の飲み物を買うなどなど。
1時間経って集合場所に戻ると、心地よく疲れていた。
それから、上原大祐さんの講演を聞いた。
上原さんは、パラリンピックのアイススレッジホッケーのプレイヤーで、現在『D-SHiPS32』を運営している。生まれながら二分脊椎という障害を持つ車椅子ユーザーだ。
話は、ロンドンオリンピックを観戦に行った時のことから始まった。
駅から公園に向かっていると、声をかけてくれた男性がいたそうだ。
「右から行くと階段があってたどり着けないから、左から行くといいよ。スロープがあるから」
上原さんは、もしその男性の声かけがなかったら、と考えたという。
階段がある方向に進み「この公園には階段でしか、行けないんだ」とあきらめていたかも知れない。彼のひと言で、自分の可能性は広がったのだと。
上原さんは、相手の立場に立ち、想像することの大切さを語っていた。
ロンドンで声をかけてくれた男性は、車椅子を押してくれたり、一緒に歩いて道案内してくれたわけではない。車椅子に乗る上原さんが、どうしたら公園に行くことができるかを上原さんの立場に立ち、想像し、その方法を考えてくれた。
それだけのこと。だがそれだけのことが、どれだけ車椅子に乗る人の可能性を広げられるのか、知ってほしい。考えてほしい。強い思いが伝わって来た。
そのほかにも、「できないことを数えるのではなく、できることを教えたい」「できないこと、課題があることはチャンスだ」「できないと思いこむことのないよう、可能性を伝える」車椅子ユーザーの子どもたちに向けて様々な活動を展開している様子をお話ししてくださった。
相手の立場に立ち、想像することって、じつはそんなに簡単じゃない。
体験をして意識が変わった部分も大きいと思っていたはずなのに、駅でキャリーバッグを転がしエスカレーターに乗ろうとしたら、修理中でつい舌打ちした。エレベーターに乗るには遠回りしなくれはならない。電車に間に合うだろうか。荷物は重いけれど階段で行こうか。ああ、でも車椅子ユーザーはこういうときにも階段は使えないんだな。そう考えた瞬間、ああ、エスカレーターでさえ使えないんだ、と気づいた。例え階段を迂回するように遠くに設置されたエレベーターだとしても、そこまで行かなくてはならないのが日常なんだとハッとした。
想像することは、難しい。だから、体験すること、おススメします。
カフェで珈琲を買うというミッションがありました。このスロープが思ったより傾斜がきつくひとりでのぼるのは技術が必要です。
そのうえ手押しの自動ドアだと勢いをつけスロープを登っても開けられず、ぶつかってしまいます。
自動販売機の最上段の飲み物を買うというミッションもありました。こんなふうに台の上に販売機がある場合が多く、手が届かないんです。
せっかくスロープがあっても開け放たれて固定されたドアに阻まれて、自動販売機までたどり着けない例です。
コンビニや居酒屋に行くというミッションも。一段二段、こうして上がった場所にあるお店の方が多かったです。
段差解消スロープがあっても、道が割れていると小さい方の前輪がハマって動けなくなることも多々あるそうです。
駅の改札に続くなだらかと思っていた傾斜。ひとりで登るのはきつかったです。だからといって勢いをつけると人にぶつかりそうになります。
いつもは気にかけない自転車置き場横の歩道です。はみ出した自転車があると通れなくなってしまいます。
この細い場所を通らないとエレベーターにたどり着きません。少しでも車椅子の操作を誤ったらと思うととても怖くなり、いつもの駅も違って見えてきました。
車椅子。
経験してみないとわからない事ですね。
駅にはエレベーターが、あるからと思っても、そこに向かうまでに遠回りしなくてはいけない。
そこまではわからないですよね。
この前父の車椅子を押して花見に行った時、わずかな段差でも、苦労しました。
スロープのあるところはありがたいと、思いました。
経験してみてやっとわかりました。
ぱすさん
ほんと、体験してみてわかること、体感することが多くて驚きました。
こういう体験を、たくさんの人ができるようになるといいなと思いました。
お父様、車椅子でお花見されたんでしたよね。
経験してみないとわからないこと、歳を重ねても多いんだな~と実感。
知らないこと、まだまだいっぱいです。
随筆屋。
Webライター。
1962年東京生まれ。
2000年に山梨県北杜市に移住。
2012年から随筆をかき始める。
妻であり、母であり、主婦であること、ひとりの人であることを大切にし、毎日のなかにある些細な出来事に、様々な方向から光をあて、言葉を紡いでいきたいと思っています。
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