玄関側の駐車場に、砂利を入れた。
何年か前に入れたものがだいぶ流れてしまい、少なくなっていたのだ。
梅雨入りの前に、ようやく日にちがとれた。
砂利をダンプカーで運んできてくれた大工さんと夫で、平らにならし転圧機で踏み固めていく。わたしも水撒きを少し手伝った。水を撒きながら転圧機で踏むと固まりやすいそうだ。おもしろいなと思った。
「雨降って地固まるって、その言葉の通りの意味もあるんだ」
揉め事のあとは、返って安定した関係を築くことができる。そんな意味でつかわれる諺だ。水を撒きながら、わたしのなかでは雨って揉め事っていうほど悪い印象じゃないんだけどなと思った。
確かに雨が続くとうっとうしかったり、急に降られて濡れると嫌だったり、バーベキューしていて降り出せば残念だなあと思うときもある。
だが、雨もまたよしと、大人になって思うようになった。
雨宿り。雨上がり。雨だれ。雨音。素敵な日本語も多い。
雨の音は、ピアノのメロディを連想させる。雨音に耳を澄ませるのも好きだ。
傘も楽しいアイテムだ。
先日観に行った『写真家ソール・ライター展』では、傘が主役になった写真が何枚もあった。ソール・ライターは、傘が大好きだそうだ。
折りたたみの進化、軽量化などは進んでいるが、基本の形が変わらないのは発明されたその形が、それ以上ないくらいに完成されていたということなのだろう。新品の傘をさしていても、レトロな感じがつきまとう。
だからだろうか。雨が降ると、時間の感覚がズレてもおかしくないような気分にさせられる。傘を傾げてすれ違った人が、過去から来ていても未来の道を歩いていても、受け入れてしまいそうな不思議な感覚だ。
「雨が降ると、子どもたちはよく眠ったっけ」
梅雨入りはまだ先だが、雨の季節の気配を感じた。
大工さんに借りた転圧機で、夫が踏み固めました。
おーっ! きれいになった。急発進して穴を掘らないようにしなくちゃ。
庭ではドクダミが、遅ればせながら目覚めました。
ブルーベリーは、青い実をつけています。
大輪の真っ赤なバラが、咲きました。
トイレに、シロツメクサとワイルドマジョラムを飾って。
キッチンには、アップルミントとオレガノとシロツメクサを合わせました。9輪挿し。上の娘が高校生の頃、わたしの誕生日にプレゼントしてくれました。
随筆屋。
Webライター。
1962年東京生まれ。
2000年に山梨県北杜市に移住。
2012年から随筆をかき始める。
妻であり、母であり、主婦であること、ひとりの人であることを大切にし、毎日のなかにある些細な出来事に、様々な方向から光をあて、言葉を紡いでいきたいと思っています。
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