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はりねずみが眠るとき

昼寝をしながら本を読み、ビールを空けて料理する日々

香りを表現する

先日、市内の大泉にある森のログハウスサロン『CHESHIREチェシャ』で行われた、香道セミナーなるものに参加した。

 

香道の「香」からお香を連想し、お香を焚くのは好きだから知識が加わると楽しいかも、と勝手に考え気軽に参加したのだが、香道は日本の三大芸道のひとつであり、華道、茶道と並ぶ歴史あるもので、イメージしていたものとはまったく違っていた。

違っていたがとても気さくな先生で、香りを楽しむことをファーストプライオリティにしていて、まっさらに何も知らないまま楽しませていただいた。

 

香道は、作法のもと香炉で香木を焚き、立ち上る香りの違いによって、詩歌や故事、情景などを鑑賞する文学性や精神性の高い芸道だそうだ。

そして、香りを「嗅ぐ」とは言わず「聞く」という。心を澄ませて、香りの奏でるメロディにあらゆる神経を傾けるというようなことだと思う。

 

そんなふうにして「六国(りっこく)」と呼ばれる6種類、伽羅(キャラ)、羅国(ラコク)、真南蛮(マナバン)、真那賀(マナカ)、佐曽羅(サソラ)、寸聞多羅(スモタラ)の香木の香りを聞き、その違いをメモしていったのだが、これが難しい。

わたしは、色とイメージでかき留めていった。マナバンは「優しい、ピンク」スモタラは「雨の森、赤茶」というふうに。

香道では「五味」と呼ばれる表現があって「甘、辛、酸、苦、鹹(しおからい)」と「無(すべての味を含む)」などで表しているそうだ。また、江戸初期の『六国列香之辨』という書には、人で表していて、「宮人の如し」あるいは「女のうち恨みたるが如し」などとある。

香りを人にわかるように伝えるのって、ほんとうに難しいんだなと実感した。

そしてその後「組香」という香りを当てる遊びをしたのだが、初心者向けの簡単なものだったにもかかわらず、まったく当たらなかった。プリントにかいてある五味と人の例えた文章と、自分で感じた色とイメージがあっちこっち行ってしまい、完全に混乱した。

 

しかし「組香」は、風情があり楽しいものだった。

朝顔と昼顔と夕顔の短歌がかかれていて、最初の香りがキャラなら「あさがお」と紙にかく。2番目なら「ひるがお」3番目なら「ゆうがお」と。ほんの少しだが、詩歌や情景を鑑賞する文学性の高いといわれる香道に触れられた気がした。

「香(こう)満ちました」

最後の言葉が、とても素敵だった。

香木を焚いたやわらかな香りが、身体に心に満ちていくのを感じた。

CIMG0534セミナーの写真は撮れなかったので、こちらは長期休暇中の我が家の火鉢。香炉を見ていて火鉢を連想したのはわたしだけでしょうか。

CIMG0538

玄関に置いてある、ほとんど火をつけたことのない火鉢もあります。ふたつとも、家を建てたときお祝いにいただいたものです。

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PROFILE

プロフィール
水月

随筆屋。

Webライター。

1962年東京生まれ。

2000年に山梨県北杜市に移住。

2012年から随筆をかき始める。

妻であり、母であり、主婦であること、ひとりの人であることを大切にし、毎日のなかにある些細な出来事に、様々な方向から光をあて、言葉を紡いでいきたいと思っています。



『地球の歩き方』北杜・山梨ブログ特派員

 

*このサイトの文章および写真を、無断で使用することを禁じます。

 

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