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『ポイズンドーター・ホーリーマザー』

毒親【どくおや】

俗に、子供に悪い影響のある親。児童虐待に該当する行為で子供を傷つけたり、過干渉・束縛・抑圧・依存などによって子供の自立をさまたげたりする親。 

デジタル大辞泉より

 

興味のない言葉だったが、そういう類の親が、特に母親が問題視されていることは知っていた。

短編6編のなかで、表題作とも言える2編『ポイズンドーター』『ホーリーマザー』のテーマとなっている。

女優、弓香は、母子家庭で育った。母、佳香の厳しい干渉のもとで。

高校二年で初めてできた彼氏とも、すぐに別れさせられた。あの人には黙って、二人で隣町まで映画を観に行き、晩の九時には家に着く電車に乗ったのに、改札口にはいつから待ち構えていたのか、あの人が恐ろしい顔で立っていた。狭い町では誰かが密告するのだ。彼の成績がいまいちだというくだらない個人情報や女に軽薄だというデマまで添えて。彼に直接文句を言われなかったのは幸いだったが、家に帰り、玄関を一歩入った瞬間、平手打ちが飛んできた。

『ポイズンドーター』は訳すと「毒娘」であり『ホーリーマザー』は「聖母」となる。『ホーリーマザー』では、弓香の高校時代の友人、理穂視点で、弓香視点の「毒親」とは真逆の「娘を思う気持ちが強い聖母」のような人だと語られる。それは理穂は理穂で、母親の過干渉に悩んだ時期があったからだ。子育てを通して理穂の感じ方は、十代の頃とは変わっていた。

志乃の幼稚園にも、一緒に遊ばせたくないと思う子はいる。小学校に子どもたちだけで通うなど、想像しただけでも恐ろしい。宿題をみてやり、時間割まで一緒にして、ノートを一冊忘れていることに気付けば、走って学校まで届けに行くはずだ。学校行事では、最前列に陣取りしてビデオ撮影をする。参観日は誰よりもオシャレな格好をする。すべてママがやっていたことだ。志乃は嫌がるかもしれない。だけど、わたしはへこたれず、いつか解ってくれる日がくるはずだからと、自分の信じた行動を取る。これが毒親なら、それでいい。

わたし自身は放任の親に育てられ、子どもたちにも干渉しない方だった。それは今でも続いていて、例えば娘が海外に行き何年も会えずにいても、元気で楽しく暮らしていればそれでいいと思うし、自分で考えて生きていける方がいいとさえ思う。

だけどふと、これでよかったのかと振り返るときもある。もっともっと踏み込んだ関係を築くべきだったんじゃないかと。後悔は、親にはつきものなのだ。

 

さて。どの程度が毒親で、どれくらいが愛情深い聖母なのか。簡単に判別がつくものじゃない。ただ大人になってまで、親の育て方がこうだったから自分はこうなのだとか、言いたくはない。すべてを受け止めて、自分の足で立っていたい。子どもたちにもそうあって欲しいけれど、彼らはどう思っているのだろうか。

WOWOWでドラマ化されるそうです。解説は、その脚本の清水友佳子。映像化することでプラスして描かれるシーンがありそうで、楽しみです。

 

☆『地球の歩き方』特派員ブログ、更新しました。夏休み特集!

【ベトナム・ホーチミンを歩こう~〈その4〉grab(グラブタクシー)の乗り方】

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PROFILE

プロフィール
水月 さえ

随筆屋。

1962年東京生まれ。

2000年に山梨県北杜市に移住。

夫が営む広告会社で経理を担当。

2012年から随筆をかき始める。

 

妻であり、母であり、主婦であること、ひとりの人であることを大切にし、毎日のなかにある些細な出来事に、様々な方向から光をあて、言葉を紡いでいきたいと思っています。

 

『地球の歩き方』北杜・山梨ブログ特派員

 

随筆かきます。

 

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