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はりねずみが眠るとき

昼寝をしながら本を読み、ビールを空けて料理する日々

『愛はお財布の中に』

愛が、お財布のなかにあるとは思わない。

だがお金が左右する人間関係のなかには、恋人同士や夫婦ももちろん含まれる。

 

日々めくっている『ペペペ日めくりカレンダー』で、きのうは「無くした財布が戻ってきたと思ったら中身がふえている日」だった。

「あれーお財布あったんだね、よかったね!」

めくる氏は、あくまでも呑気である。

「ご……50万円も入ってる……」

と、あささん。財布にいったいいくら入れていたのかも気になるが、増えていた分をどうするのかもまた気になる。

めくる氏の仕事が何なのか、あささんは働いているのかなど、気になるところはありすぎるが、たぶん彼ら夫婦は中流家庭にくくられるであろう。

だが、わたしがいちばん気になったのは、めくる氏の屈託のなさである。妻が財布を失くした時点で、心配したり、不注意を責めたり、クレジットカード会社への連絡を促したりと、一家を守る立場からのリアクションがあって然るべき。そんな些細なことから、大喧嘩へと発展するのもまた夫婦なのである。

 

山本文緒の短編集『みんないってしまう』(角川文庫)のなかに『愛はお財布の中』がある。

30代の〈私〉は、タクシーを降りるときに財布を忘れたことに気づく。後で振り込むと何とか説得し、しかしどこへも行くことができず出先で途方に暮れる。やむなく徒歩圏内にある別れた恋人の会社を訪ねるが、喫茶店で待てと言われたまま彼は現れず、無銭飲食まですることになってしまった。そしてうすうすわかっていたことを自分に突きつける。今の彼が、年上で自立した自分の金目当てだということを。

それでも私は、その子にそばにいてほしかった。いつでもそばにいて、見つめあったり笑いあったり手をつないだりしていたかった。センスがいいとか美人だとか、好きだとか愛してるとか、私ではない誰か他人の口から聞いていたかった。それが、何もできないただ可愛いだけのペットみたいな男でも。

一瞬でも無一文になるというのは、心のタガが外れてしまうほどに頼りない気持ちにさせられるものなのだろう。

 

こっそり、考えた。

我が家の夫なら、「無くした財布が戻ってきたと思ったら中身がふえている日」に、どういうリアクションをするだろうかと。

「増えてるなら、いいか」って、言うかな?

これです。ワン!(笑)

お金関係では、こんなのも。

そして、こんなのも。

夫婦関係では、これも。録音されてたら、怒る?

あささんが、前を歩くんだね。

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PROFILE

プロフィール
水月 さえ

随筆屋。

1962年東京生まれ。

2000年に山梨県北杜市に移住。

夫が営む広告会社で経理を担当。

2012年から随筆をかき始める。

 

妻であり、母であり、主婦であること、ひとりの人であることを大切にし、毎日のなかにある些細な出来事に、様々な方向から光をあて、言葉を紡いでいきたいと思っています。

 

『地球の歩き方』北杜・山梨ブログ特派員

 

随筆かきます。

 

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