神戸から持ち帰ったもののひとつに、掛け軸がある。
夫が気に入り、リビングに飾った。
リビングには物置的スペースになっている場所があり、持ち帰ったアルバムなどを仕舞い、そこに掛けた。
茶釜や茶器なども、いくつか気に入ったものを並べていた。
今、新しい年を迎える準備のような雰囲気が、そこにだけ漂っている。富士山は、やはりめでたいもののシンボルなのだ。
そのとき、おや、と首を傾げ、ふたり顔を見合わせた。
「八ヶ岳と富士山が、並んでる!」
「ほんとだ」
掛け軸の隣の窓には、八ヶ岳が素知らぬ顔で佇んでいる。
我が家から、八ヶ岳は北。富士山は南。
真逆に見えるふたつの山が、仲睦まじく並んでいるさまは、不思議としかいいようがなかった。
意図したわけではないが、語り合っているかのようなふたつの山(片方は絵だけど)に、アニミズムを感じたのである。
リビングの端、キッチン寄りの場所に掛けました。この下の部分が、収納スペースになっています。ふたが重いし、上にいろいろ置いてあって、めったに開けません。開かずの収納庫です。
すぐ隣の窓から、八ヶ岳が見える場所です。
光の関係で、八ヶ岳と富士山が並ぶ様子は撮れませんでした。
先週撮った、雪を冠した富士山。須玉町大豆生田から。
夕刻。明野の農道から。
昨日の夕刻の八ヶ岳。
風もなく穏やかな夕暮れ時でした。
*アニミズム=自然界のすべてのものに霊が宿るという考え方。
随筆屋。
Webライター。
1962年東京生まれ。
2000年に山梨県北杜市に移住。
2012年から随筆をかき始める。
妻であり、母であり、主婦であること、ひとりの人であることを大切にし、毎日のなかにある些細な出来事に、様々な方向から光をあて、言葉を紡いでいきたいと思っています。
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