雪掻きは、けっこう汗をかく。
最初はダウンパーカーに毛糸の帽子、手袋など重装備でしっかり身を固めて始めるが、すぐに暑くなりダウンを脱ぎ、帽子をとり、セーターまで脱いでしまうことすらある。単純作業の繰り返しだし、雪は重い。かといってエクササイズにちょうどいいというわけでもない。下手すればすぐに腰を痛める。
先日雪掻きしたとき、何年も履いていた長靴のゴムが劣化していて、つま先が濡れ、冷たい思いをした。身体は暑いのに、つま先だけ感覚がなくなるほどの冷たさだ。たいした雪ではなかったので、自分の身体優先にして切り上げた。
そしてきのう、新しい長靴を買った。
お隣り韮崎市のショッピングモールの靴屋には、入り口横に長靴がずらりと並んでいた。雪で慌てて長靴を買いに走るわたしのような客も多いのだろう。
カラフルなものもたくさんあったが、求めるものは実用性。しっかりした長さ、分厚さ、軽さ、履き心地などを見ながら選ぶ。
すぽっと足を入れた途端、その気持ちよい感覚に少々戸惑った。
そして、思い出した。息子が2歳の頃だったか、青い長靴が好きでよく履いていた。運動靴もあるのに、よく晴れた日にも長靴を履きたがり、母親一年生だったわたしは、何度も彼を説得しようとした。長靴より運動靴の方が足にフィットし危なくないのだと。だが彼は頑固に長靴を履き続けた。忘れてしまったが、たぶん穴があくまで履き続けたのだったと思う。
「この、すぽっと足が入る感覚が好きだったのかな?」
今となっては、そのときの彼の気持ちはわからない。息子自身、青い長靴のことすら覚えていないだろう。
もっともっと、子どもの「好き」という感覚に寄り添って見つめてみればよかった。最近になって不意にそう思うことがある。
ダークブラウンのしっかりした長靴です。
軽くて分厚くて暖かく、滑りにくいです。
これはきのうの八ヶ岳。雪も日当たりのいい場所はだいぶ溶けました。
頂上付近にまとった雲が、地吹雪のようにも見えますね。
随筆屋。
Webライター。
1962年東京生まれ。
2000年に山梨県北杜市に移住。
2012年から随筆をかき始める。
妻であり、母であり、主婦であること、ひとりの人であることを大切にし、毎日のなかにある些細な出来事に、様々な方向から光をあて、言葉を紡いでいきたいと思っています。
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