この春、まだ桜を見ていないという夫を誘って、町に一校ずつしかない小中学校周辺に咲く桜を見に行った。
見に行ったといっても、夕刻リモートワークを終えて東京へと向かう彼を駅まで送る途中、立ち寄っただけのこと。
それでも30分ほど早く出て、ゆっくりと桜を愛でることができた。
明野中には子供たち3人ともが通ったし、小学校には上の娘は3年間、末娘は6年通った。
末娘の中学の入学式で満開の桜の下で撮った写真が残っているから、今年はやはり、ずいぶんと早く咲いたのだろう。
在学中、保護者は年に一度一時間、校内の草刈りに駆り出された。桜の樹の下を、花が終わった頃、何度も草刈りしたことを思い出す。
夫も同じらしく、「草刈りしたねえ」「小学校も、中学もしたねえ」なんて桜の樹の下で話した。
ちょうど10年、草刈りした計算だ。
うちは小学校にわたしが出たら、夫は中学と交替で出ることが多かったが(同日早朝、時間差で行われる)、草刈りはお父さんの仕事と決めている家もあった。
「だめよ! やらせなきゃ。そういうときのために父親がいるんじゃない」
ママ友にそう言われて、それも明野ならではのルールなのかなとうらやましく思いつつ、結局最後まで交替で草刈りした。
しかしだからこそ、ここの桜は特別で独特で、その感覚を夫婦で共有できるのも、またよしと思うのだ。
校門の前で桜を見上げる夫。
その真ん前で、相も変わらず本に目を落としている二ノ宮金次郎くん。
蕾がピンク色で、可愛い。
降るように咲いていました。
遠目に見ると、真っ白に見えますね。
八ヶ岳を望む校庭にも、桜の巨木が並んでいます。
随筆屋。
Webライター。
1962年東京生まれ。
2000年に山梨県北杜市に移住。
2012年から随筆をかき始める。
妻であり、母であり、主婦であること、ひとりの人であることを大切にし、毎日のなかにある些細な出来事に、様々な方向から光をあて、言葉を紡いでいきたいと思っています。
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