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はりねずみが眠るとき

昼寝をしながら本を読み、ビールを空けて料理する日々

父の自慢

東京の実家に、正月の挨拶に行った。

今年90歳を迎える父は、10月に病気治療の入院をしていたので、その後どうかと思っていたが、年末恒例の白菜も漬け、ずいぶんと元気そうだった。父、母、近所に住む弟とわたし、会社から駆けつけた夫の5人居間で寿司などを囲んだ。

その席で、父が何度も自慢した。

「おじいちゃんが、いちばんしゃべりやすいんだよ」

得意満面の笑みを浮かべ、繰り返す。我が家の上の娘のことである。

 

彼女は年末年始の休暇で、レユニオン島へと行っている。マダガスカルの隣りだというその島は、しかしフランスなのだそうだ。その遠い遠い島へと旅に出る際に、父のケータイに電話したのだという。

「おじいちゃん、行ってくるね」

娘とは、夫とのグループLINEで連絡をとり合っているため、飛行機の日程などはそこに貼りつけて送ってきたし、もちろん知っていた。だから特に「行ってきます」的な挨拶もなく彼女は旅出った。だが、父はそれを聞き、ふたたび嬉々として言った。

「おじいちゃんだけに、電話してきたんだよ」

そりゃそうだ、おじいちゃんはメールしないじゃん。という心の声をあえて口に出さす、そうだね、おじいちゃんとしゃべりやすいんだね、とあいづちを打つ。

父は、遅れてきた夫にもふたたび同じことを言う。

「おじいちゃんには、話しやすいんだよ」

そしてそれを言うたびに、みるみる若返っていくのだった。

自分が孫にとって特別な存在だということが、よほどうれしかったのだろう。

 

正月の祝いの席で自分が会話の中心になっているとはつゆ知らず、娘はレユニオン島を満喫している様子。そろそろ帰ってくるはずだ。

CIMG5784会社近くの大手町に泊まり、和田倉門跡を通って東京駅経由で帰ってきました。

CIMG5783いいお天気で歩く人も多かったです。

CIMG5766

和田倉公園にて。今シーズン初めて着た分厚いオレンジのコートは、ちょっと暑かった。

CIMG5774

でも脱ぐと寒い。夫に「ダボパン」と言われる温かい「ワイドパンツ」を穿いています。

CIMG5791お堀に、松並木や建物や空が映り込んで、揺れていました。

CIMG5787

お堀には、白鳥がスーイ。

CIMG5799

かもめは、近づいても飛んでいきません。

CIMG5794東京駅丸の内側は工事が終わったみたいですね。広い御幸通りを歩きました。

 

 

 

COMMENT

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  1. ぱす より:

    おはようございます。
    お父様、お元気で新しい年を迎えられましたね。何よりですね。
    白菜漬け。毎年の事を、いつも通りにやると言う事。
    大切さと、重みを、年々感じるようになりましたね。

    娘さん。お優しいですね。
    嬉しいでしょうね!孫から行ってくるねコール♪♪

    マダガスカル近くに、フランス領の島があるのですね。
    遠い!と、思いを馳せました。
    お土産話楽しみですね。私もなんだか楽しみです。

    • さえ より:

      ぱすさん
      おはようございます♩
      父のこと、ありがとうございます。
      今年は白菜漬けを送ってこなかったのでそれも心配だったんですが、少し減らして漬けたそうです。変わらず美味しくて、安心しました。
      上の娘は、優しいのがとりえですね。
      レユニオン島のお土産話、楽しみです♡

  2. ユミ より:

    お正月早々、ご両親様たちと楽しい宴が持てたのですね。
    お父様、お元気そうでそしてほんとにお若い。
    私の母とあまり変わらないお歳なのに、携帯電話使ってらっしゃるんですね。
    さえさんの娘さんもお優しいです。
    そりゃお父様、自慢したくなりますよ。
    私も孫とそんな関係が築けたらいいな~

    バックショットのお写真、娘さんかと思いました。
    さえさん、お若い~~!!

    • さえ より:

      ユミさん
      父も元気そうだったし、母も白内障の手術をしたばかりだったんですが、すっかり見えるようになってすっきりしたみたいで、とても元気そうでした。
      ありがとうございます♩
      父のケータイは、ほんと家電と変わらないレベルなので誰でも使えると思います。でもまあ90歳には見えないなあとは客観的にみても思うので、気が若いってことなのかも知れませんね~娘は気が強いところもあるんですが優しい子なんですよ~
      ユミさんはいくつになっても、絶対お孫さんの自慢のおばあちゃんだと思いますよ!
      (おばあちゃんって言うのが、すごい違和感あるし・・・)
      後ろ姿だけでも若いって言ってもらってうれしい♡

PROFILE

プロフィール
水月

随筆屋。

Webライター。

1962年東京生まれ。

2000年に山梨県北杜市に移住。

2012年から随筆をかき始める。

妻であり、母であり、主婦であること、ひとりの人であることを大切にし、毎日のなかにある些細な出来事に、様々な方向から光をあて、言葉を紡いでいきたいと思っています。



『地球の歩き方』北杜・山梨ブログ特派員

 

*このサイトの文章および写真を、無断で使用することを禁じます。

 

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