夫は、窓を開けるのが好きだ。
真冬でも、雨の日でも、窓を開け放ち、空気を入れ替えるのを好む。まるで彼には、淀む空気が見えているかのように、空気を新しくしたがる。
わたしはと言えば、ずっと閉めっぱなしでも、その空気に慣れ馴染み、それを受け入れてしまう。例え淀む空気が目に見えたとしても、そこにあるものとして受け入れてしまうだろう。
些細なことだが、性分というものを感じる違いがそこにはある。
常に新しいものを取り入れようと動いている彼は動で、今ここにあるものを受け入れてしまうわたしは静、だろうか。
そんなまったく正反対の性分を持つ彼と暮らし、わたしの部屋の空気は、定期的に新しく入れ替わるようになった。
窓だけではない。彼は、思いもよらなかった方向へとわたしを誘い出す。
旅も、外での食事も、展覧会も、映画や本も、自分では選ばない思いもよらない場所やモノの扉を開けていく。
たぶんどんな夫婦でも、互いが違うということに、悩みぶつかることが多いと思う。しかしそれは、互いのよい部分に影響を受け合っていくことでもある。
「あ、また窓を開けてる」
若い頃には、どうしてまたこんな日にと思ったものだったが、最近「夫が窓を開けること」が好きになっている自分に気づいた。
まるで窓を開けていくみたいに、雲の隙間から顔を出した青空。
こんな空を見ていると、雲の手前に空がぽっかり浮いた騙し絵のように見えてきます。この秋は、こういう曇り空が多かったですね。
羊雲。秋の雲。玄関で家越しに撮ったのでアンテナが写っています。
足元では、カマキリさんとテントウムシくんが雑談中。いや、にらめっこかな。2匹とも、肉食なんだよね。
随筆屋。
Webライター。
1962年東京生まれ。
2000年に山梨県北杜市に移住。
2012年から随筆をかき始める。
妻であり、母であり、主婦であること、ひとりの人であることを大切にし、毎日のなかにある些細な出来事に、様々な方向から光をあて、言葉を紡いでいきたいと思っています。
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