YasuoMaedaのカレンダー。4月はパリのサン・マルタン運河だ。
思い出すことが多すぎる旅の記憶を、するすると手繰り寄せる。
初めて海外でアパルトメントを借りて2週間ほど過ごしたのは、サン・マルタン運河徒歩圏内の居心地のいい部屋だった。
毎朝、散歩がてらに焼き立てのパンを買いに出かけ、スーパーで買った珈琲を部屋にあった珈琲メーカーでドリップし、それだけで至福の食卓になった。
八百屋や惣菜屋、肉屋などで量り売りで買い物をし、夜食にミネストローネも煮た。
川沿いのシックな本屋。色とりどりのブティック。緑豊かな公園には、野鳥たちが我が物顔でさえずっていた。
通りがかりに入ったレストランでは、隣の席の母娘と通じない言葉で和やかに会話したのを思い出す。
そんなサン・マルタン運河で驚いたのは、運河にかかった橋を船が渡るときの橋。その橋の動きだ。
以下、当時のブログから。
そこは運河の高低差を調節するために川を閉鎖して水位を上げていき、階段をのぼるようにして船が進んでいく場所だった。日本でも見かけるような上に開閉する形ではなく、橋は横にスライドしていく。何でもないことだが、その縦横の違いに、異国にいるのだということを実感した。
縦が当たり前、あるいは普通、そんな思い込みが解放された瞬間だった。
場所が違えば、適した方法も違う。
その土地ならではの根を張った風習や、ほかにも金銭的なこともあるだろう。
無論どちらでもいいケースも、きっとたくさんある。
思いもよらない動きをした橋に、微笑ましさを隠しきれずくつくつと笑いがこみ上げて来たのはなぜだろう。
この橋の上、歩きました。
橋が横にスライドしている様子です。踏切待ちも時間がかかります。
ようやく開いて、ゆっくりと船が進んでいきます。
橋の反対側。両方を閉鎖し、水位をあげているところです。
同じ水位になったところで、スタート。そしてもう一度同じことを
繰り返します。気が遠くなるような作業ですね。
その2キロほど先は、貯水池になっています。
トイレその1の日比谷花壇のカレンダーは、明るいウォーターメロンピンク。
その2のゴッホは、「キャンバスを持って歩くゴッホ」です。
随筆屋。
Webライター。
1962年東京生まれ。
2000年に山梨県北杜市に移住。
2012年から随筆をかき始める。
妻であり、母であり、主婦であること、ひとりの人であることを大切にし、毎日のなかにある些細な出来事に、様々な方向から光をあて、言葉を紡いでいきたいと思っています。
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