やちむんを観て歩いたほぼ2日の沖縄の旅。
じっくり焼き物を見て歩く時間は至福だった。
彼女と焼き物を観て歩いたのは初めてだったが、時間の流れがぴったりくるというか、阿吽の呼吸で「ここ入る?」「次行こうか」という空気が出来上がっていて、それがまた何とも心地よかった。
「夫と一緒だったら、こうはいかないよねえ」
「まだ見るの? って言われちゃうよねえ」
そんなふうに笑いながら延々と観て歩き、疲れたらお茶した。そのお茶も、ふたりしてジンジャーエールを選んだ。「壺屋やちむん通り」のカフェにはいく種類ものジンジャーエールがあり、やはり暑い土地なのだとうなずく。
けれどもちろん選んだものはまったく違っていた。
夫婦ふたり暮らしだというのは同じなのに、彼女の気に入ったものをするりと手に入れる気風の良さには憧れる。
けっきょくわたしは、選びに選んで3つだけ持ち帰った。
帰ってきてから、ああ、あれも買えばよかったと思うが時すでに遅し。次回の旅に楽しみをとっておいたと思うしかない。
その器たち。やはりじっくりと選んだだけのことはあり、我が家の食卓にすぐに馴染んだ。
わたしはハイビスカスの、彼女はタンカンのジンジャーエールを。歩き疲れた喉に、沁みました。水のコップも綺麗。
連れて帰ってきたのは、この3つです。
壺屋焼きのカップ。唐草模様には、延々とのびゆくことから〈復活・再生〉の意味が込められているそうです。「育陶園」で。
サトウキビの灰の釉薬は、深い白になるそうです。そこに藍を垂らして。読谷(よみたん)壺屋焼きとありました。「陶芸宮城」で。
一目で気に入った、ガラス工房のお皿。琉球稲嶺ガラス。「宙吹ガラス工房虹」で。
珈琲を淹れて。
ホタテのカルパッチョに。
鰹のお刺身で。それぞれ食卓に沖縄の風を吹かせてくれています。
随筆屋。
Webライター。
1962年東京生まれ。
2000年に山梨県北杜市に移住。
2012年から随筆をかき始める。
妻であり、母であり、主婦であること、ひとりの人であることを大切にし、毎日のなかにある些細な出来事に、様々な方向から光をあて、言葉を紡いでいきたいと思っています。
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