夫は、カウンター席に座るのが好きだ。
東京でひとりの夕食をとることが多いから、というのもあるかも知れないが、カウンター越しに料理する様子が見えるのが楽しいらしい。彼は家で料理することは少ないが、興味だけは人一倍あるようだ。
先日も、飛び込みで入ったイタリアンで、カウンターの席をすすめられた。
シェフの手の動き一部始終が見える高さになっていて、夫婦ふたり、何をしゃべるというわけでもなくただ料理が作られていく様を見ていた。ふたりとも、疲れていたのだと思う。
美味しい料理を食べながら、その料理の話をするというのは、疲れているときには最適だ。メインが運ばれる頃には、多少は酔い、ぽつりぽつりとシェフとカウンター越しに話をするようになっていた。夫が訊いた。
「この、肉の仕上げにかけたカリッとしたの、何ですか?」
「塩です。新潟まで行って、塩を作る工程を見て選んだものです」
「塩を作るのを見に、新潟まで?」
「作っている人に会いに、と言った方がいいかも知れません。素材が信頼できるかどうかは、人が信頼できるかどうかだと思っているので」
よかったら注文してみては? と、塩屋さんのチラシをくれた。
「料理が、急に上達したような気がしますよ」と、笑って。
さて。その塩が届いた。残りご飯で塩おむすびを握る。
「あ、美味しい」
びっくりするほど、旨みが濃くなった。
塩おむすびを頬張りながら、塩が作られた海辺の町を思い浮かべる。
なぜか、カウンターの向こうに海が広がっているような錯覚を覚えた。
海ではないかも知れないが、カウンターの向こうには、いろいろなものが広がっている。そんな気がしてきた。
カルパッチョは、塩とレモンが効いていました。料理をふたりでシェアしたので、半分ずつ盛り付けてくれました。
真鯛と菜の花のイカスミパスタは、真鯛の出汁が効いていました。
このワインの絵は、家から伸びる4枚の葉で家族を表しているとか。家族でワイン造りをしながら成長していきたいとの願いが込められているそうです。
メインの鹿肉です。これにカリッと塩がかかっていました。神保町の『girotondoジロトンド』で。
教えていただいた新潟に行って仕入れたという「花塩」です。
カリッと大きな粒が、たまらない。しょっぱいだけじゃない味。
ただの塩おむすびが、味わい深ーくなります。
さえさん、こんばんは♪
先ほどコメントを書きこみ中に画面が急に真っ暗になってしまいました。
もし途中のコメントが届いていたら破棄しておいてくださいね。
私も少し前、すごく美味しいお塩を頂きました。
やっぱり美味しいお塩は塩むすびにするのが一番ですね。
具がなくてもお塩だけで満足できるのってすごいです。
塩が、ごちそうになる瞬間ってこんな時なんだなと思いました。
papermoonさん
おはようございます♩
お塩、最近は美味しいものが、日本のものも海外のものもたくさん出回っていますよね。
塩おむすび、いいですよね~♩
お米も近所の田んぼのものなので、新米の季節は、塩さえなくても美味しいんですが、美味しいお塩のおかげで新米食べたみたいに美味しかったです。
ほんと、塩がごちそうになるって感じですね。
随筆屋。
Webライター。
1962年東京生まれ。
2000年に山梨県北杜市に移住。
2012年から随筆をかき始める。
妻であり、母であり、主婦であること、ひとりの人であることを大切にし、毎日のなかにある些細な出来事に、様々な方向から光をあて、言葉を紡いでいきたいと思っています。
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