夫は、連休に遊びに来る予定だった友人たちのためにと、ベーコンをスモークしようと準備していた。
塩漬けにしたリ、ソミュール液に漬けたり、塩抜きをしたりという工程に1週間ほどかかるため、自粛中止にすると決まったときには、すでに準備が始まっていて、だから予定通りスモークした。
とても美味しいベーコンができあがり、薄く切って酒の肴にしたり、朝食のスクランブルエッグに添えたり、ポテトサラダにたっぷり入れたり、スモークが効いたミネストローネを煮込んだりした。
ベーコンを食べながら、考えた。
コロナ禍で、わたし自身は取材が難しくなったくらいで、職を失ったり収入が激減したりなどの大きな変転は、今のところない。
けれど日々の小さな出来事は、変わり続けているのかも知れない。
客人を迎えないことになり、確実に買い物の量は減った。きのう”卵を買わなかったわたし”と”卵を買ったわたし”は、今日同じ人物なのだろうか。
もしかしたら、世界中の人が日々小さく変わり続けているのだろうか。
違うのは、しょうがない。
でもどうせ違うなら、”卵を買ったわたし”と同じくらいは、笑っていたいと静かに思った。
豚バラ肉とショルダーのベーコン。スモークチーズはとてもやわらかです。
ポテトサラダにもたっぷり入れました。
バラ肉のベーコン入りミネストローネも煮て。
朝食も豪華でした。
随筆屋。
Webライター。
1962年東京生まれ。
2000年に山梨県北杜市に移住。
2012年から随筆をかき始める。
妻であり、母であり、主婦であること、ひとりの人であることを大切にし、毎日のなかにある些細な出来事に、様々な方向から光をあて、言葉を紡いでいきたいと思っています。
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