ひと回りほど若い友人と「亜絲花(あしはな)」で、トルコ料理のランチを楽しんだ。
「平山郁夫シルクロード美術館」に隣接する、平山画伯の別荘だった建物を改築したレストランである。
きのこ検定を取得しているというシェフのきのこ料理が楽しめる季節。秋の陽ざしの入る木造りのレストランでのゆったりとした時間になった。
その後、美術館へ。
平山画伯のコレクションには、多くの仏像がある。
美術館の方もおっしゃっていたけれど、優しいお顔の像が多い。ギリシャ彫刻のような彫りの深いお顔も、日本の大仏様のようなお顔も、優しく、そしてやわらかに微笑んでいらっしゃるかのように見える。
ゆっくりとした歩調でひとつひとつ観ていきながら、ふと思い出したというように彼女が言った。
「子どもの頃、家の仏壇に仏像があって、親にそう言われたせいかもしれないけど、悪いことをしたら怒っている見えて、いいことをしたら笑っているように見えたんだよね」
「へえ、不思議。仏像が心を映しているみたいにねえ」
子どもの頃の悪いこともいいことも、たぶんそうたいしたことではなかっただろう。けれど、そのときには仏像に自分の心が映り込んでしまうほどには、一喜一憂する出来音だったに違いない。そして悪いこともいいこともきっと誰かが見ているし、誰よりも自分が見ているのだ。
「仏像さまたち、笑ってるね」
「笑ってて、よかった」
ふたり静かに笑いながら、平山画伯の絵画を楽しんだ。
ここのシェフは、きのこマイスターなんです。
茄子の挽肉詰めワンプレートランチ。
きのこスープ、きのこ愛を感じるさすがの美味しさでした。
食後にザクロチャイをいただいて、まったりしました。硝子の器もアジアン風で、スプーンもシュガーポットも素敵すぎる。
随筆屋。
Webライター。
1962年東京生まれ。
2000年に山梨県北杜市に移住。
2012年から随筆をかき始める。
妻であり、母であり、主婦であること、ひとりの人であることを大切にし、毎日のなかにある些細な出来事に、様々な方向から光をあて、言葉を紡いでいきたいと思っています。
*このサイトの文章および写真を、無断で使用することを禁じます。
管理人が承認するまで画面には反映されません。