人の気持ちというものは、ほんの些細なことで色を変える。
例えば、雨に気づいた途端、信号待ちする隣りの見知らぬ人が傘を開く。その瞬間、胸のなかで何かが弾ける。
また例えば、木漏れ日の揺れる光りを見つめているうちに、不意に何かが湧きあがってくる。
電線にとまった野鳥たち。人にはわからぬ合図でもあるのかいっせいに飛び立っていく。それを見て、何もなかった胸のなかにさざ波が起こる朝もある。
電車のなかから見える広告看板。通り過ぎて行くそのなかに浮き上がる、無遠慮に自分を見つめる瞳。その視線に、濃い闇が降りてくる夕刻もある。
そしてまた例えば、夕餉の冷奴。豆腐の白があまりにも白く白く見え、胸のなかにその白が広がり、ただただしんとしていくこともある。
そんな些細な心の揺らぎは、もともとは自分のなかにあったことを炙り出す。
見ないようにしていたことが顔を出し意地悪く微笑んだかと思えば、一歩を踏み出せずにいた背中を押してくれたりもする。
そんな些細な出来事に揺らいでいく人の心は、だから山の天気のように、一瞬のうちに変わってしまったりもするのだろう。
冷奴です。白くないけど(笑)茗荷をたっぷりのせました。
庭の茗荷の花が咲きました。奴にのせた茗荷です。
太った茗荷が、採れました。美しいな~♩
随筆屋。
Webライター。
1962年東京生まれ。
2000年に山梨県北杜市に移住。
2012年から随筆をかき始める。
妻であり、母であり、主婦であること、ひとりの人であることを大切にし、毎日のなかにある些細な出来事に、様々な方向から光をあて、言葉を紡いでいきたいと思っています。
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