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はりねずみが眠るとき

昼寝をしながら本を読み、ビールを空けて料理する日々

本の神様はいたずら好き

湊かなえのミステリー『リバース』を読んだのは、2か月ほど前のこと。

そのときには、ドラマ放映中だったこともあり控えたのだが、ドラマも終わりようやくネタバレでかくことができる。

(これから本を読む方は、どうぞ読まないでください)

 

その日わたしは、文庫を鞄に入れ、お隣りの長野県茅野市へと所用で出かけた。

文庫は『リバース』である。ネタバレのないあらすじ、感想は → こちら

用事を済ませ、電車を待ちながら駅の土産屋で時間をつぶしていた。

信州土産の野沢菜、山葵、林檎などの加工品のほか、様々な蜂蜜が置いてあった。そのなかで、わたしの目を惹いたのは、珈琲にも近いほどに濃い褐色をした蜂蜜だった。

「へえ。蕎麦の蜂蜜って珍しい。それにしてもこんなに濃い色なんだ」

信州である。無論、蕎麦処。蕎麦の白い花が咲きみだれる蕎麦畑は見たことがある。花があれだけ咲くのだから、蜂蜜だって当然とれるよなあと、その褐色の蜂蜜を見てただ納得したのだった。

 

さて。帰り道。電車は鈍行で1時間ほど。

3分の2以上読み進めた『リバース』を、浮き浮きと開いた。だが、読み進め終章に入るなり愕然とした。残りのストーリーのすべてが見えてしまったのだ。

 

3年前に事故死した広沢由樹の死因は、免許取り立てで嵐の山道、そのうえ弱いのに酒を飲んでいた。無理に運転させた、主人公深瀬を含む4人はそれぞれに罪悪感を抱えながらも、酒を飲ませたことを言えずにいたが、告発文が届き小説は始まる。

深瀬は心配するだけで、運転を止めさせることができず、せめて眠気飛ばしにとポットに珈琲を入れ広沢に渡した。広沢は甘い方が好きだからと、蜂蜜を入れて。その蜂蜜が褐色の、蕎麦の蜂蜜だったのだ。そして、広沢はひどい蕎麦アレルギーだった。それを聞き、重度のアルコールアレルギーの深瀬には、その苦しみと事故の顛末がすべてわかってしまった。

その褐色の蜂蜜を目にしたばかりのわたしにも。

広沢を殺したのは……。俺だったのか。

講談社編集部から湊かなえに出された”お題”からかかれたというこの小説。

「主人公がじつは真犯人で、しかしそのことに当人が気づくのは最後の場面」

というのが”お題”だそうだ。(佳多山大地の解説から)

 

「うわーっ! どうして読む寸前に蕎麦の蜂蜜、見ちゃったんだよ! 知らずに終章を楽しみたかったのに」

まったくもう。本の神様って、ときどきこういういたずら、するんだよな。

CIMG0164こんなふうに並んでいました。ジャムかなと思うほど濃い色です。

CIMG0165なぜ電球なのかわかりませんが、こんな蜂蜜もありました。

CIMG0236買ってみました。深瀬のように珈琲に入れてみました。珈琲に蜂蜜が合うと深瀬に教えたのは広沢でした。

CIMG0237珈琲は、ブラジルとコロンビアのブレンドです。

CIMG0239少しだけ入れると、珈琲の旨みを消すことなく、コクが増す感じです。珈琲カップは、近所に住む陶芸家、内藤六郎さんの作品です。

CIMG0244ドラマは、じつは深瀬が殺したでは終わりませんでしたね。

CIMG0248友人にいただいたゆずの蜂蜜。花の数だけ、蜂蜜の種類はあるんですね。

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PROFILE

プロフィール
2016-10-02-11-07-59-1
水月 さえ

随筆屋。

1962年東京生まれ。

2000年に山梨県北杜市に移住。

夫が営む広告会社で経理を担当。

2012年から随筆をかき始める。

 

妻であり、母であり、主婦であること、ひとりの人であることを大切にし、毎日のなかにある些細な出来事に、様々な方向から光をあて、言葉を紡いでいきたいと思っています。

 

随筆かきます。

依頼はメールフォームからお願いします。

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