1泊で行った東京では、実家にも立ち寄った。
他愛のない話のなかにいつも出てくるのは、両親が育った北海道の牧場でのエピソードだ。
「旅行に出る直前に生みたての卵いっぱいもらっちゃって、冷凍したんだよね」
わたしの言葉に、父がすぐに返した。
「冷凍すると、殻が割れるだろう」
「割れるね。それでも、解凍して食べられるから」
そこから、話は北海道の牧場へと流れていく。
「冬場、夜明け前に雌鶏が卵を産むと、朝取りに行ったときにはもう凍って割れてて売れないんだよ。それを目玉焼きにして食べたなあ」
「北海道は、本当に寒かったもんねえ。おじいちゃんが建てた家は隙間風だらけで、朝目が覚めたら枕もとに雪が積もってるんだもの」
母も、話に加わる。
「よく生きてたねえ」
「今は、幸せだよ」
なんて、ふたり笑いながら何十年も昔の風景にタイムスリップしている。
来月91歳になる父と84歳の母。ここ数年は会うたびに歳をとるように感じていたが、ふたりとも思ったよりも元気そうだった。春の陽気のせいか、北海道の話をすると若返るのか。
長い道のり電車に揺られ、家に帰って、ひとり冷凍たまごで雑炊を作った。生みたてのたまごが凍ることもない場所で暮らす幸せ、というものを思いながら。
出がけにJR韮崎駅で撮った駅前ロータリーの桜です。
五分咲き? もっとかな。
実家がある団地の敷地内に植えられた桜並木です。
帰って来たら真っ暗。JR韮崎駅前の桜がライトアップされていました。
ひとり簡単ご飯。冷凍たまごと冷凍ご飯の雑炊、鶏がらスープ味。エノキと小松菜を贅沢に入れて。ただおもしろがって冷凍たまご作ったこともあったなあ。
ご両親との会話。ひとつひとつが、とても大切に、思えてきますよね。
若いころは思いもしなかったのに、そんな一言、ひとことが重みをもつように思います。
お若かった頃、子育ての頃、光景が思い出されて、懐かしい思い出話が次々と出てこられるのでしょう。
何度も、出てきますよね。
私の母も会うたびに出てくる、話があります。
韮崎は、もう桜がこんなに!毎年、そちらは早いですね。
こちらはまだ全然です。4月に入って、一気に・・でしょうかね。
ぱすさん
特別何を話すってわけでもないんですけれど、むかし話が増えたからですかねえ、聞いたことのない話を聴く機会が増えたように思います。
同じ話も何度も聞かされるんですけどね。
でも、自分でも同じ話するようにもなっているし、そういうのも気にならなくなってくるものですね。
韮崎駅前の桜は、なぜか毎年早いんですよ。
こちらもたぶん、4月に入ってから一気に咲くんだと思います♩
楽しみですね~
随筆屋。
Webライター。
1962年東京生まれ。
2000年に山梨県北杜市に移住。
2012年から随筆をかき始める。
妻であり、母であり、主婦であること、ひとりの人であることを大切にし、毎日のなかにある些細な出来事に、様々な方向から光をあて、言葉を紡いでいきたいと思っています。
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