鍋も続くと、あきる。
「あの本で、選ぼうか」
夫の提案で開いたのは、『鍋の天下一品』だ。
これまでも「鶏たたき鍋」、「ねぎま鍋」、「鱈とじゃが芋のミルク鍋」などなど、鍋の新しい味を模索するのに役立ててきた。
さて。今回セレクトしたのは、北海道の大自然が生んだ郷土鍋「石狩鍋」。
生鮭が美味しい季節である。
材料は、生鮭、じゃが芋、玉葱、キャベツ、長葱、椎茸、豆腐。
味つけは、昆布だしに酒と味噌。仕上げにバターだ。
もともとは開拓者たちの活力源で、野趣あふれる素朴な煮込み鍋ですから、具や調味に決まりはなく、家々でいろいろな味があります。脂ののった鮭のぶつ切りさえたっぷり入っていれば、もう石狩鍋と言っても過言ではありません。
鍋の紹介文を読み、ほうとうみたいだなあと思う。
家々の味がある郷土料理。山梨ではほうとうさえ入っていれば、味噌でも醤油でもチゲでも、やはりもう、ほうとうだ。
もしかしたら、世界中のいろいろな場所にそんな自由な発想の郷土料理があるのかもしれない。
「なんで、白菜じゃなくてキャベツなんだろう?」
「北海道じゃ、白菜育たないのかな?」
そんな疑問は食べて解決した。キャベツとバターのマリアージュが、たまらない美味しさだった。
いつどこで買ったのか。すっかり忘れたけれど、重宝しています。
キッチンで煮て、食卓に出すタイプの石狩鍋。
味噌とバターのマッチング、うーん、いい香り。
翌朝は、雑炊にしました。バターが効いていて、和風のリゾットみたい。
随筆屋。
Webライター。
1962年東京生まれ。
2000年に山梨県北杜市に移住。
2012年から随筆をかき始める。
妻であり、母であり、主婦であること、ひとりの人であることを大切にし、毎日のなかにある些細な出来事に、様々な方向から光をあて、言葉を紡いでいきたいと思っています。
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