週の初め、東京の実家に帰ってきた。
用事はあったのだが、両親の話を聞くことが用事だとも言える。
91歳の父の話を聞いていると、いつも思う。
(そんなにがんばらなくても、いいのに)
自分はこれもできる、あれもできる、そんじょそこいらの91歳の爺さんとは違う。言葉の端々にそんな意気込みが感じられる。
買い物して自炊し自分の好きなものを食べ、掃除もわたしなどよりよほどマメにしている。お金の管理もしっかりしていて、いつ倒れてもいいようにと準備し、鉛筆がきで表にしたノートを見せてくれる。
たしかにすごい。
「すごいね」と、口にも出す。ひとつひとつを数えるようにして、きちんと認め褒めるようにしている。
父は納得しつつも、それでもまだまだ高みを目指すかのように、上へ上へと登って行こうとする。ほかの誰かと違う素晴らしい人間でなくてはならないと、無意識下で求め続けている。
(そんなにがんばらなくても、平凡でじゅうぶんなのに)
実家に帰ると、そんな気持ちがこみ上げ切なくなる。
翌日の帰りしな、新宿で電車待ちの時間、駅ビルで昼食を食べた。
『馬馬虎虎(マーマーフーフー)』という羽根つき餃子と中華で、フードコートのような気軽な雰囲気の店だ。
『誰も知らない世界のことわざ』に、「馬馬虎虎」ってあったなあと思い出す。
すばらしいわけではなく、でもとてもひどいわけでもなく、ごく中間レベルという意味です。
日本語の「まあまあ」に当たるらしい。
北京語の「まあまあ」の語源は、半分が馬で、半分が虎の絵を描いた画家の話に由来します。それが馬でも虎でもないために、誰もその絵を買わなかったし、好む人もいませんでした。
馬でも虎でもない何者でもない「まあまあ」な自分。
たぶん、その場所は不安定でとても頼りない。わたしもいつもバランスをとりながら、そこにいる。
読んだばかりの『平凡』は、平凡であることが幸せか不幸かを静かに問うていた。〈平凡〉と〈馬馬虎虎〉とがシンクロしたのはただの偶然か?
看板です。馬が餃子、虎がフライパンを持っていますね。
ライトな担々麵のセットにしました。
羽根つき餃子6個付き。白は豚肉、緑は海老でした。
羽根がカリカリで美味しかった。
久しぶりに開きました。不思議な言葉がいっぱいのユニークな絵本です。
「マーマーフーフー」と読むのだと、今回初めて知りました。
お父様、とてもお元気で何よりです。
一日、一日大切に。
ご自分ができることをご自分に課して行く。
そうした積み重ねなのですね。
中国のことわざには、いいものがたくさんありますね。
馬馬虎虎もなるほど!って思えます。
ほどほどでいいですね。発音からしてゆるりですね。
馬馬虎虎って、奥深い意味のある言葉ですね。
お店の名前にしては、インパクト強いけれど、何て読むのかしら?と、思われる方もいっらしゃるはず。
それで印象付けているのかしら・・・(笑)
お父様、素晴らしいですね。
高齢になると高みを目指そうとする意欲も薄れがちになると思いますが、全くそんな事はない。
若さの秘訣、元気の源ですね。
日々きちんとして、目の前の事に一生懸命になる事が、お父様にとっては案外馬馬虎虎な事になりつつあるのかもしれませんね。
きっとそういう毎日が気持ちいいし、さえさんに聞いてもらうのも、とても楽しいんだと思います。
随筆屋。
Webライター。
1962年東京生まれ。
2000年に山梨県北杜市に移住。
2012年から随筆をかき始める。
妻であり、母であり、主婦であること、ひとりの人であることを大切にし、毎日のなかにある些細な出来事に、様々な方向から光をあて、言葉を紡いでいきたいと思っています。
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