月曜日。髪を切った夜、夫婦でエリック・クラプトンのライブを聴きに行った。
夫がクラプトンを聴き始めたのは中学生の頃からで、わたしは一緒に聴いているうちに自然と好きになった口だ。
ひとり運転しながら、クラプトンを聴くこともよくある。英語のタイトルを覚えるのが苦手なので、有名どころの曲名しか覚えていないけれど、メロディはわかる。タイトルも知らず「あ、この曲好き」という感じで聴いている。
それでもライブは、耳に覚えのある曲ばかりだった。
「ベストアルバムみたいなライブだったね」
とは、夫の感想だ。
声に張りがあって、ギターを弾き歌うクラプトンも楽しそうだった。
クラプトンはライブで、長いイントロを弾きどの曲が始まるかわからない時間を楽しむ遊びのようなことをよくやるのだが、弾き始めてすぐにピンときた曲があった。『Wonderful Tonight(ワンダフルトゥナイト)』だ。
It's late in the evening; she's wondering what clothes to wear
夕暮れどき、彼女はドレスを選んでいる
She puts on her make-up and brushes her long blonde hair
メイクして、長いブロンドの髪をとかしてる
And then she asks me, "Do I look all right?"
やがて僕にたずねる、“あたし、どうかな”
And I say, "Yes, you look wonderful tonight”
僕は答える、“ああ、今夜の君は最高だ”
この後ふたりはパーティに行くわけなんだけれども、そして現実ではクラプトンが親友から奪いやがて破綻した女性とのことを歌ったらしいが、そんなことよりこの夕暮れどきのシーンが素敵な曲だ。幸せな瞬間って、こういうときにあるんじゃないかなと思えるような。
見逃してしまっている何でもない毎日のなかにある何でもない”幸せ”を、『Wonderful Tonight』を聴きながら思う。
夫は、痺れを切らしたわたしが「髪、切ったんだけど」というまで気づかなかったけど、まあいいか。
相変わらずすごい人出の武道館でした。
夫が集めたクラプトン関係のDVDたち。
関係ないけど東京で食べた広島風お好み焼き。牡蠣入り!
オタフクソース、ひと味違う感じがしました。
随筆屋。
Webライター。
1962年東京生まれ。
2000年に山梨県北杜市に移住。
2012年から随筆をかき始める。
妻であり、母であり、主婦であること、ひとりの人であることを大切にし、毎日のなかにある些細な出来事に、様々な方向から光をあて、言葉を紡いでいきたいと思っています。
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