ずっと気になっているのに、読むに至らない本、というのがある。
例えば、好きな作家と50音順が近い作家の本だったり、タイトルに魅かれ手にとったもののふたたび図書館や書店で棚に戻してしまう本などだ。そんな小説を読み、ああおもしろかったと思えるとき、ずっと仲たがいしていた友と心が通じ合えたようなうれしさがある。仲たがいというよりは、ようやく会えた、という思いに近いかも知れない。
それと同じことが、料理本のレシピでもある。
「あ、これ、一度作ってみたいなあ」
と思った切り、そのままになっているレシピがある。
そんなレシピをようやく作る機会に恵まれた。
栗原はるみの料理本『ごちそうさまが、ききたくて』のポテトグラタンだ。
「作ったことのないメニューに、挑戦してみようか」
休日。夫とふたり炬燵でくつろぎながら、それぞれのパソコンでクックパッドを検索した。そして夫からリクエストを受けたのが「鮭とじゃが芋のクリーム煮チーズのせ焼き」だったのだ。わたしは栗原はるみのレシピを思い出し、クックパッドを見るのをやめた。鮭は入っているが、作り方は栗原はるみ式である。
「まさにイメージ通りだよ、これ」
夫もご満悦。
「ようやく、会えたね」
わたしもこっそり、鮭とじゃが芋のクリーム煮チーズのせ焼き、あるいはポテトグラタンに声をかけた。
引っかかっているもの、気にかかっているものには、いつか出会えるかも知れないという予感がある。最近、そう思うようになった。
鮭とじゃが芋のクリーム煮。アンチョビと長葱が効いています。
生クリームをかけてチーズをたっぷりのせて焼くのが栗原はるみ風だとか。
料理本です。隣りのページの青梗菜のクリーム煮をよく作ります。
こちらはネットレシピの牡蠣と牛蒡のアヒージョ。
癖のあるモノ同士のマリアージュがいい感じでした。
夫が久しぶりに、レバーペーストを作りました。
トマトをのせると「ブルスケッタ」レバペをのせると「クロスティーニ」です。
随筆屋。
Webライター。
1962年東京生まれ。
2000年に山梨県北杜市に移住。
2012年から随筆をかき始める。
妻であり、母であり、主婦であること、ひとりの人であることを大切にし、毎日のなかにある些細な出来事に、様々な方向から光をあて、言葉を紡いでいきたいと思っています。
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