山梨県立美術館は、所用で甲府へ行く際通ることも多い、その名も美術館通りにある。
けれどなかなかゆっくり館内を歩こうということにならないのは、すでに何度か観ているミレーが展示された美術館だからだ。
今回訪れたのは、夫が企画展のクローン文化財の展示をぜひ観たいと言い、久しぶりに扉を開けることにした。
ジャン=フランソワ・ミレーは、バルビゾン派(風景画や農民画を写実的に描いた)で、特に農民たちを描いた作品で知られ、「種をまく人」は代表作のひとつ。
それを、3Dデジタル技術などを駆使して色や凹凸など忠実に再現した精緻な複製であるクローン文化財が展示されていた。
ホンモノとクローンが、同じ部屋に少し離れて並べられていた。
遠くから観ると、どちらがホンモノなのかもわからない。
けれど、近づいて観ていると、違いが見えてくる。
クローンの方が、色合いが明るい。鮮やかだ。じっくりと何度も見直して、こっちの方が、クローンの方が好きだと思った。
それは無論、ホンモノよりクローンの方がいいということではない。
クローン文化財の制作工程を見ていき、限りなく時間をかけ技術の粋を極めた作品なのだと言うことがわかっただけではなく、絵画を守るための額にはめられたガラスが実際の絵画の色だとか質感だとかを遮っているのだと知った。
それを観る人に届けてくれるのが、クローン文化財なのだ。
そしてひとつしかない作品を、数多くの人が観られるようにと。
そのために、日々取り組んでいる人がいる。
そんなことごとを知ることができて、胸のなかに未知の世界が広がっていくのを感じた。
外観です。空がどんより曇った寒い日でした。
美術館の庭「芸術の森公園」の様子は、こちら。
【芸術の秋のお散歩にぴったり~「山梨県立美術館」&「芸術の森公園」】
左を向くと、凍った富士山が。
クローン文化財の企画展のみ、撮影OK(フラッシュNG)でした。
ホンモノの「種をまく人」です。
こちらがクローン文化財。色が明るいのは、ガラスが、ないせいです。
もちろん、ミレーコレクションも観てきました。「落ち穂拾い、夏」や「鶏に餌をやる女」など、クローン文化財を観た後にもう一度見直して、ガラスを外すともっと色鮮やかに見えるのだろうなあと想像したりしました。
美術館通から少し先の「アンソニーズキッチン」で、ランチ。初めて行くお店でしたが美味しかった! 夫がオーダーしたイカスミバーガー。
わたしは、今週のパスタ。サルシッチャが本格的でにんにくが利いたシンプル美味しい味わい。
こういう時間も、至福の時ですね。
クローン文化財、すご~い!!
初めて聞きました。
絵画の世界もクローンなんですね。
こうしてずっと後世にも残せることも出来るんですよね。
徳島の大塚美術館は名画を陶板画にして飾っていますが、それだけでも一挙に見れたと満足できたのに、
クローンは凹凸なども忠実に再現されているんですね。
これからはクローンも増えてくるのでしょうか。
奈良の高松塚古墳なんかクローンで出来ないのかしら。
随筆屋。
Webライター。
1962年東京生まれ。
2000年に山梨県北杜市に移住。
2012年から随筆をかき始める。
妻であり、母であり、主婦であること、ひとりの人であることを大切にし、毎日のなかにある些細な出来事に、様々な方向から光をあて、言葉を紡いでいきたいと思っています。
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