今年畑を始めたという友人に、バターナッツ南瓜をいただいた。
「少し置いておくと甘みが増すみたいだけど、ポタージュスープにしたらもうじゅうぶん美味しかったよ」
アドバイスに従い、とりあえず1個切り、ポタージュにした。
バターナッツという名を持つだけあり、バターを入れなくともコクと風味がある。まろやかだ。
久しぶりに、まるまま1個の南瓜を切り、思い出した。
幼い頃、南瓜が怖かった。
まだ、ハロウィーンなど定着していない時代、オバケ南瓜のランタンなども見たことがなく、だからそういう怖さではない。
台所で、母が南瓜を切る姿が、ただただ恐ろしかった。
胡瓜やトマトを切るのとは、わけが違う。深い緑の厚く硬い皮に刃を入れ、そこから思い切り力を込めて両手で包丁を押す。その腹をくくった肩のいからせ方に、何か大切なものを切り落としてもかまわないというような覚悟が見えたのだ。
幼いわたしはそんな感情を言葉にできるはずもなく、台所に置かれた深緑色の硬くでこぼこした南瓜と、対峙するにはいかにも弱々しい包丁を持つ母に脅威を感じ、そこから逃げ出した。
夕食に、湯気を立て甘くほっくりと煮た南瓜が出てくる頃には、そんなことはもうすっかり忘れて美味しく食べていたのだから、子供だったと可笑しくなる。
バターナッツ南瓜は、普通の南瓜よりもよほど不安定で、幼い頃のわたしが見たら間違いなく逃げ出すだろう。
だが大人になったわたしには、もう南瓜は怖くない。
自ら硬いその皮に包丁を入れ、とろりと甘いポタージュにすることだってできるのだ。
可愛い。ひょうたんのようにも、見えますね。
切ると、普通の南瓜の色。種は下の方に集中してるんだね。
薄く皮を剥いた部分は、やわらかな黄色でした。
できた~♩ バターナッツ南瓜の味がまろやか。美味しい♡
こんばんは。
バターナッツ、私もポタージュにしました。
このカボチャはとても日持ちします。
2つ貰って一つは冬になるまで取っておきました。
そちらの方が甘かったのを覚えています。
幼いころのさえさんの想い出。
わかるような気がします。
私が怖かった母の想い出は、モクズガニ(川蟹)を叔父がとってくると、網に入れて深めの桶に入れておくのですが、いよいよ料理しようという段になって、袋を開けると蟹が逃げ回って、それを追いかける母の姿があまりにも勇ましくて、いまでも覚えています。
母は必至だったのでしょうが、捕まえようと追いかける姿は恐ろしかったのです。
随筆屋。
Webライター。
1962年東京生まれ。
2000年に山梨県北杜市に移住。
2012年から随筆をかき始める。
妻であり、母であり、主婦であること、ひとりの人であることを大切にし、毎日のなかにある些細な出来事に、様々な方向から光をあて、言葉を紡いでいきたいと思っています。
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