東京では、会社近くの神保町『味噌鐵カギロイ』で飲んだ。
ホームページによると「一軒家味噌鉄板素焼きノ店」だそうだ。
また「大通りを一本は入り、見過ごしてしまいそうな小さな灯り。看板の無い店」ともある。「カギロイ」とは「陽炎(かげろう)」の意味を持つ言葉。通り過ぎると見えなくなる場所、という意味だろうか。
味噌和え、味噌ディップ、味噌漬け焼き、味噌煮込み、まあ味噌三昧の食事だった。その味噌が、とにかく美味い。珍しくビールをやめ、熱燗を傾けた。熟成された深い旨みに、ほろほろと酔っぱらう静かないい夜を過ごした。
食べながら、どこぞの蔵で眠る味噌を思い浮かべた。
夏のバーベキューでアメリカ男子に教わった。彼は肉を浸けてしばらく「ねかせる」ことを「sleep(スリープ)」と言っていた。味噌もsleepして、美味しくなったのかと連想したのだ。
だが調べれば「熟成」は「 aging (エイジング)」だった。アンチエイジングのエイジング。「老齢化」という意味である。
熟成させるには、ねかせる、sleepよりも、もっと長い時間が必要なのかな。時間をかけてこその味があるってことだよね。
歳を重ねるって、思っていたほど悪くないと思うようになったこの頃。味噌に負けず、眠ってばかりいないで熟成していかなくっちゃ。
つきだしの鮪の味噌和え(?)と、有機生野菜の嘗め味噌ディップ。
芋豚バラ肉の味噌つけ焼き。カウンターに座ると目の前で焼くのが見られます。
もろ味噌大根のジャコと九条葱の出汁巻き卵。
味噌味の肉じゃがのじゃが芋は、皮つきでした。
濃厚な豆腐の味噌漬けを、バケットに塗って。
「美味ニシテ滋養」だそうです。味噌焼きおむすびも美味しそうだった。
随筆屋。
Webライター。
1962年東京生まれ。
2000年に山梨県北杜市に移住。
2012年から随筆をかき始める。
妻であり、母であり、主婦であること、ひとりの人であることを大切にし、毎日のなかにある些細な出来事に、様々な方向から光をあて、言葉を紡いでいきたいと思っています。
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