土曜の朝、夫に誘われ久しぶりに散歩した。
風もなく、雲ひとつない空が青く青く広がっていた。
標高600mの我が家より上へ向かうと、だんだんと景色が開けてくる。八ヶ岳も南アルプスも見渡せる。
始めひんやりと感じた空気も、20分ほど歩き『梅之木遺跡』に着く頃にはすっかり身体が温まり、暑くなって上着を脱いで腰に巻いた。散歩日和だ。
「菜の花越しに、南アルプスが見えるよ」
夫に言われ、撮影を試みたがうまくいかずカメラをいじっていたら足もとにおもしろい影が見える。黒マントに身を包んだ怪人のようだ。長い上着を腰に巻いていたのでマントのように見えた。
黒マントの怪人を、わたしは「サンデマン」と名づけた。
そんなふうに足もとを見ていると、その向こうに2羽のキジが見えた。ちょこちょこと歩いている。つがいか、あるいは雄が子どもを連れているのか。
美しく大きな雄が、ケーンケーンと鳴く。家にいてもよく聞く鳴き声だが、姿を見ながら聞くことは珍しいので、ちょっとうれしくなる。その雄もしばらく歩き草に隠れ、そこからまた顔を出したりしている。
山桜は今満開の木が多く、そこここで見かけるのだが、花の大きさが違ったり真っ白だったり薄いピンクだったり花のつき方もそれぞれで、様々な品種があるのだと見て歩いた。
山桜だけではなく、森も林も木の芽が息吹き始めている。
何も考えずただ家の近くを歩いただけなのに、朝の散歩は、些細な、ほんとうに小さな、それでもたしかに「驚き」と言えるような出来事に満ちていた。
いつもよりほんの少しだけ高度が高い場所から見た、八ヶ岳連峰。
南アルプス連峰も、春の陽気にのびのびとしています。
縄文時代の集落跡『梅之木遺跡』。
遺跡の川近くには、山吹が咲いていました。
菜の花越しに見た、南アルプス連峰。
足もとを見ると不思議な影。あしながおばさんとも言える。
キジの雄です。立派ですね。青く光る羽が美しい。
今、山桜の花が、あちらこちらに咲いています。
林は、早くも新緑です。
散歩の後に食べたパン食の朝ご飯には、アイスラテで。
随筆屋。
Webライター。
1962年東京生まれ。
2000年に山梨県北杜市に移住。
2012年から随筆をかき始める。
妻であり、母であり、主婦であること、ひとりの人であることを大切にし、毎日のなかにある些細な出来事に、様々な方向から光をあて、言葉を紡いでいきたいと思っています。
*このサイトの文章および写真を、無断で使用することを禁じます。
管理人が承認するまで画面には反映されません。