ホイアンの旧市街は、日暮れとともに観光客であふれ出す。
「ここでは、毎日こうしてランタンを灯しているんだねえ」
「毎日が、お祭りなんだよな」
ホイアン2日目の夜も、揺れるランタンの灯りを眺めながら旧市街を歩いた。
わたしたちのような観光客。それを迎え入れる店を出す人々。
ランタンを並べる店。お土産物屋。バナナケーキやイカや肉を焼く露店。足裏マッサージの呼び込み。カフェもレストランもたくさんある。道でペーパークラフトを売る人にも声をかけられた。
1軒目の食事を外し、ブログのお友達のユミさんが楽しんだという「シークレット・ガーデン」に行ってみようということになる。ホーチミンにも同じ名の店があるが、どうやら違う店らしい。
名が「秘密の庭」なだけあって、店は通りから細い路地を入り奥まった場所にあった。
細く暗い路地を抜けると、まるで深い森を歩いていて突然陽だまりに出たかのような、あるいはビルの谷間でバオバブの樹が空に向かい伸びていたかのような、そんな驚きがそっと置いてあるような場所だった。
そして、不思議にも客は誰ひとりとしていなかった。
「貸し切り?」
「表通りの喧騒が嘘のようだね」
料理は美味しく、ビールはよく冷えていた。店内の緑を揺らす自然の風はやわらかな冷気を伴い、音を置き忘れたみたいに静かだった。いつになく心が解き放たれていくのを感じる。
何しろ、ホッとしたのだ。
食事を終えた頃、ほかの客が入ってきた。
彼らにとっても、ここは特別な空間となり得たのだろうか。
チャン・フー通りを歩いていて、「あった!」看板を見つけました。
これです。
細い裏路地を進んで。
左に曲がると、「あった!」
鍵穴を抜いたロゴが洒落ています。
シンプルお洒落な店内。
ガーデンというだけあって、緑がいっぱいです。
店内に池もありました。
ベトナムで食べた春巻きのなかでもいちばん美味しかった揚げ春巻き。
グリーンペッパーの房で飾られたグリルポーク。いい夜になりました。
随筆屋。
Webライター。
1962年東京生まれ。
2000年に山梨県北杜市に移住。
2012年から随筆をかき始める。
妻であり、母であり、主婦であること、ひとりの人であることを大切にし、毎日のなかにある些細な出来事に、様々な方向から光をあて、言葉を紡いでいきたいと思っています。
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