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はりねずみが眠るとき

昼寝をしながら本を読み、ビールを空けて料理する日々

集合のシャボン玉

大晦日の昼、夫が蕎麦を打つのも毎年恒例のことだ。

年越し前にももちろん食べたのだが、きのう2日の昼食にもふたりで食べた。

娘たちが早々に東京へ帰ってしまい、夫婦ふたりの食卓へと戻ったのだ。

 

ふたりの食卓は、何か物足りないような淋しいような気が抜けた感じがした。

「いつもの生活に戻ったね。淋しいような、ホッとするような」

わたしの言葉に、夫が返した。

「あいつらも、ホッとしてるよ」

娘たちのことだ。

「別々に、暮らしてるんだからさ」

「そうだね。だんだん別の家族になっていくってことだよね」

 

少しだけしんみりとした気持ちで、しかし当然のことなのだと受け止めながら、小学生の頃に習った集合の図形を思い出していた。

重なり合う丸と丸。重なった部分が共通点となる、あれだ。

それをなぜか、シャボン玉のように思い浮かべた。ひとつのおおきなシャボン玉から、すーっともうひとつのシャボン玉が外へ出ていこうとしている。途中までは重なり合う部分が大きいのだが、だんだん小さくなってすっかり離れていってしまう。そうして新しい家族が生まれ、別々の家族になっていく。

そのシャボン玉は、もとのシャボン玉に似ている部分を持ってはいるけれど、まったく違うものだ。無数のシャボン玉が、それぞれに違った虹色を放ち浮遊していく。淋しくて、美しい光景。

 

そんな風景を思い浮かべながら、ごりごりと山葵をおろした。

cimg3468

蕎麦打ち風景です。大晦日忙しく、写真はこれだけ。

cimg3602美しく美味しい蕎麦に、茹で上がりました。茹でるのも夫です。

cimg3600薬味はシンプルに葱と天かす、でも山葵はおろしていただきました。

cimg3608蕎麦湯がまた、濃くてたまらない美味しさなんです。

cimg3610晩酌のつまみに夕刻、揚げ蕎麦にしました。香ばしかったです。

 

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PROFILE

プロフィール
水月

随筆屋。

Webライター。

1962年東京生まれ。

2000年に山梨県北杜市に移住。

2012年から随筆をかき始める。

妻であり、母であり、主婦であること、ひとりの人であることを大切にし、毎日のなかにある些細な出来事に、様々な方向から光をあて、言葉を紡いでいきたいと思っています。



『地球の歩き方』北杜・山梨ブログ特派員

 

*このサイトの文章および写真を、無断で使用することを禁じます。

 

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