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はりねずみが眠るとき

昼寝をしながら本を読み、ビールを空けて料理する日々

『ヂアロオグ・プランタニエ』

娘の芝居を観に行ったのは、浅草だ。

彼女が演じたのは、劇作家岸田國士の短い戯曲『ヂアロオグ・プランタニエ』。

フランス語で、「春の対話(Dialogue printanier)」という意味らしい。Amazonで売られている青空文庫では、ただ「対話」と訳されていた。

 

ふたりの女性が、ひとりの男性を好きになる。だが戯曲に彼は登場しない。彼女たちの対話だけで話は進んでいく。つまり二人芝居だ。

心のなかを相手に見せまいとし、平気な顔をしたり、嘘をついたり。

さ う いふ こと を 考へ 出せ ば、 きり が ない わ。 なんて、 あたし にも、 そんな こと を 云 ふ 資格 は ない けれど、 女 が、 心 の 中 で、 一人 の 男 を 撰ん で 置く なんて、 実際、 無意味 ね。 あたし、 さ う 思ふ わ。 求め られ た 手 を、 差し出す か、 差し出さ ない か、 一生 を 一度、 その 時 だけ だ わ、 自分 の そば に、 一人 の 男 を 並べ て 見 られる のは……。

好きな人の心のなかも、未来も、今確かなものは何もない。

不安、嫉妬、絶望、切ない思い。彼を愛する気持ちとともに、そんなものたちが、ふたりともからこぼれ落ちていく。

短いけれど、胸に響く芝居だった。

 

芝居は3本立てで、あとの2本は現代劇。エントリー式で、出演条件が合うと出演できる形式になっているそうだ。

みな、演じることが楽しくてしょうがないという顔をしていた。

 

寄り道して観た『桐生八木節まつりin浅草』で、八木節のリズムに合わせて母親に抱かれた1歳くらいの女の子や、父親と手をつないだ2歳くらいの男の子が、自然と身体を動かしていたのを思い出した。あの子たちが身体を動かさずにはいられないように、彼らもまた、自分のなかに湧きあがるものに突き動かされ、芝居のなかに身を置かずにはいられないのだろう。

CIMG0324浅草は、やっぱりすごい人でした。GWですものね。

CIMG0334『桐生八木節まつりin浅草』です。とてもにぎやかでした。

CIMG0345わかりにくい場所でしたが、この立て看板の雰囲気で、見つけた!

CIMG0349『あさくさ劇亭』です。

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PROFILE

プロフィール
水月

随筆屋。

Webライター。

1962年東京生まれ。

2000年に山梨県北杜市に移住。

2012年から随筆をかき始める。

妻であり、母であり、主婦であること、ひとりの人であることを大切にし、毎日のなかにある些細な出来事に、様々な方向から光をあて、言葉を紡いでいきたいと思っています。



『地球の歩き方』北杜・山梨ブログ特派員

 

*このサイトの文章および写真を、無断で使用することを禁じます。

 

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