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はりねずみが眠るとき

昼寝をしながら本を読み、ビールを空けて料理する日々

『私信、ユートピアにて』

末娘が、演出助手を務める芝居『私信、ユートピアにて』(青色有線)を観てきた。チラシには、こうかかれている。

願わくは、私じゃない私になって、私の人生を生き直したいのだ。

ここではないどこかへ行けるいつかを夢見る15人の群像劇だ。

 

タレント事務所の2代目寛藤(かんとう)は、裕福な環境で生きてきた。

母親が父親を刺し風俗に身を沈めた梓は、底抜けに明るく振る舞う。

歌手のユーリは、恋人だった寛藤に別れを切り出される。

元バンドマンの智は、ユーリのマネージャー香也乃に頼るだけの生活。

高校時代に情報を売り、同級生が殺された過去を持つ芹那と荻野。

その二人につけ込む宗教家山内と、死んだ同級生そっくりの並木。

みな、ここではないどこかを夢見ている。

 

大辞林、第三版より

ユートピア【Utopia】〔どこにもない場所の意の造語〕① T ・モアの主著。1516年刊。架空の国ユートピアの見聞記の体裁をとり、共産主義・男女平等、また宗教上の寛容を説く。② [3] 〔から転じて〕 理想郷。理想の国。空想上の理想的社会。

ユートピアは、どこにもないことを知りながら。
  ししん【私信】① 私用の手紙。② 内密の通信。
ストーリーのなかで「私信」は、遺書として使われていた。芝居を観ながらわたしは、 その音から「指針」をイメージしていた。
ししん【指針】① 時計・計器類などの針。② 取るべき態度や進むべき方向を示す方針。 「 -を与える」
誰もが指針を求めているのだが、たぶんそれは自分のなかにしかない。そしてみな、それを知っている。ユートピアなどないのと同じくらいの確かさで。
 
肉体を持つ人間のリアルさとユートピアというものの儚さとが、光に影にゆらゆらと揺れるのをじっと見ているような感覚に陥った。

CIMG7357新宿区中落合の「シアター風姿花伝」での公演でした。

CIMG7359末娘は、スタッフとしてがんばってました。

CIMG7361

智と荻野のひとり二役を演じていた中西俊貴さんですが、あとでパンフを見るまで同じ役者さんだって気づきませんでした。個人的に言うと、智は超嫌いなタイプで、荻野はかっこいいなって見とれちゃうタイプでした(笑)

生のお芝居って、いいな~♩

 

COMMENT

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  1. ぱす より:

    東京にはこういうお芝居を見せるところ、シアターがたくさんあるのでしょうね。
    その中で、娘さんは精一杯やっておられるのですね。

    私でない私に生まれ変わって生き直したい。
    そういう気持ちって誰にでもあるのだな~と思いました。

    これからの舞台活動が楽しみですね。

    • さえ より:

      ぱすさん
      ありがとうございます♩
      そうなんです。東京、大きいところから小さなところまで、お芝居が見られるところがいっぱい。
      娘のおかげで楽しませてもらっています。
      若い人たちのそれとはまた感覚が違うのかも知れませんが、歳を重ねても、もし私じゃない私で生き直せるとしたら、って考えることありますよね。
      娘のこと、先のことはわかりませんが、とりあえず応援していこうと思います♩

PROFILE

プロフィール
水月

随筆屋。

Webライター。

1962年東京生まれ。

2000年に山梨県北杜市に移住。

2012年から随筆をかき始める。

妻であり、母であり、主婦であること、ひとりの人であることを大切にし、毎日のなかにある些細な出来事に、様々な方向から光をあて、言葉を紡いでいきたいと思っています。



『地球の歩き方』北杜・山梨ブログ特派員

 

*このサイトの文章および写真を、無断で使用することを禁じます。

 

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