市内の『平山郁夫シルクロード美術館』に、取材で出向いた。
日本画家平山郁夫の絵画と、150回にも及ぶシルクロードの旅で集めたコレクションを所蔵する美術館だ。
平山画伯の絵はその色の深さに心魅かれるところが大きいが、取材し、1枚の絵も無数のスケッチから成り立っていることを知った。
スケッチはもっとも大事な訓練作業であり、描写力を磨いておかなければ、どんな絵も描くことはできない。
そう考えていたという。
それは平山画伯のコレクションにも、通じているように思った。
仏像の周囲に彫られた人々、獣、草花、飾りなどにも目を向け、その時代その場所の暮らしを知ろうとしていた。
描写力を磨くこと。
そして、そのものを深く知ろうとすること。
似て否なるものではあるが、その2つが対となることで、多くの人が心奪われる日本画が描かれていったのだろう。
平山画伯はコインも数多く集めている。
コイン表に彫られているのは王の像だが、裏には守護する神々や獣などが彫られ、そこから王家の出身や宗教など様々な情報を得られるらしい。重さや素材などからも地域が特定できたり、見つかった場所からその王家の支配範囲がわかったりもするという。歴史に埋もれた名のない王が彫られたコインもあるようだ。
表を見てわかったつもりになることが多いわたしには、とても新鮮だった。
何ごとにせよ、もっとよく見て、もっともっとよく知っていかなければ、真実の姿にはたどり着けない。
平山画伯は、そう教えてくれた。
2000点近くコレクションしたというコイン。
『流水無間断(りゅうすいかんだんなし)』(奥入瀬渓流)
平山画伯の集大成『大シルクロードシリーズ』
昼と夜、ラクダのキャラバンが向かい合わせに展示されています。
周囲の人々の様子が彫られた『仏陀説法図』
優しいお顔のガンダーラ像。
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随筆屋。
Webライター。
1962年東京生まれ。
2000年に山梨県北杜市に移住。
2012年から随筆をかき始める。
妻であり、母であり、主婦であること、ひとりの人であることを大切にし、毎日のなかにある些細な出来事に、様々な方向から光をあて、言葉を紡いでいきたいと思っています。
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