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はりねずみが眠るとき

昼寝をしながら本を読み、ビールを空けて料理する日々

舞台『アヒルと鴨のコインロッカー』

伊坂幸太郎ファンクラブ(在籍2名)の仲間と芝居を観に行った。
伊坂原作の舞台『アヒルと鴨のコインロッカー』だ。

 

場面は、椎名が河崎と本屋に向かう車のなかから始まった。
「一緒に、本屋を襲わないか?」
椎名は、大学生活を始めるためアパートに越してきたその日、隣人である河崎という男に誘われた。元気がない外国人の友人のために広辞苑を盗もうという計画だ。何も盗まなくても、と口ごもる椎名に河崎は言う。
「シャローンとマーロンの話を知っているか?」
河崎は、話し始めた。
「シャローンは、煉瓦色のアパートの5階に恋人のマーロンと住んでいた。シャローンは部屋の窓から外を見下ろすのが好きだった。いつもマーロンが帰ってくるのをそこから見ていた。ある雨の日、シャローンは窓から顔を出していると、下に子猫がいることに気がついたんだ。ずぶ濡れの子猫だ。シャローンは、マーロンにこう言った。『あそこで濡れている子猫が欲しい。ここから見える、あの雨に濡れたかわいそうな子猫が』マーロンは、すぐに部屋を飛び出した。そして猫を抱えて戻り、びしょびしょの猫を綺麗に拭いてシャローンに手渡した。ところがシャローンは怒った。『わたしが欲しかったのは、ここから見た雨に濡れた可愛そうな子猫よ。今ここにいるのは、あなたに抱かれた濡れていない可愛い子猫でしょ。わたしの欲しかったものじゃない』そうして二人は別れ、マーロンは子猫と仲良く暮らしましたとさ」
訳が判らないという顔の椎名に、河崎が言う。
「シャローンにとっての猫と同じさ。俺は広辞苑をプレゼントしたい訳じゃない。本屋を襲って奪った広辞苑が欲しいんだ」

 

このストーリーのテーマは重い。外国人への無意識下の差別、動物虐待、宗教による考え方の違い、死と輪廻転生。その重さを受け止めながら、わくわくと楽しめる伊坂幸太郎の小説はすごいとあらためて思う。
舞台では、シャローンとマーロンの話が歌っている訳ではないのにミュージカルのようにも感じられ、「裏口から悲劇は起こる」や「ブータン人は代用品で誤魔化すのが得意」とか伊坂の文体そのままの洒落た文句も効いていて、やはりテーマの重さをきちんと据えたうえで舞台だからこそ楽しめる演出になっていた。伊坂がかいたセリフが散りばめられた生の芝居は、とても人間味が感じられた。

 

仲間とは、久しぶりに会った。
軽くイタリアンを食べながら「アイス珈琲だと思って飲んだらコーラだったとき」(『チルドレン』)や「映画で表現されなかった小説『グラスホッパー』の好きなシーンそれぞれ」や「『重力ピエロ』と『オー!ファーザー』の映画で好演した岡田将生くんについて」など、とりとめもなくしゃべった。同じ作家が好きな仲間がいるというのは、しみじみとふつふつと楽しいものである。
そう言えば、スイカロッカーができ始めた頃「これはコインロッカーじゃない!」と彼女と熱く語ったものだったなあ。

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入口に展示してあったチラシです。

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中野駅から歩いて5分の『ザ・ポケット』での公演でした。

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小説です。映画はもう9年も前に公開されたんだっけ。
そういや濱田岳くん、18歳だったー。

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PROFILE

プロフィール
2016-10-02-11-07-59-1
水月 さえ

随筆屋。

1962年東京生まれ。

2000年に山梨県北杜市に移住。

夫が営む広告会社で経理を担当。

2012年から随筆をかき始める。

 

妻であり、母であり、主婦であること、ひとりの人であることを大切にし、毎日のなかにある些細な出来事に、様々な方向から光をあて、言葉を紡いでいきたいと思っています。

 

『地球の歩き方』北杜・山梨ブログ特派員

 

随筆かきます。

 

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