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はりねずみが眠るとき

昼寝をしながら本を読み、ビールを空けて料理する日々

『BRIDGE』

阪神・淡路大震災での実話をもとにしたドラマ『BRIDGE 始まりは1995.1.17神戸』は、「六甲道駅」を過酷な状況下、74日間で復旧した人たちを描いていた。

 

時は2018年、神戸。阪神・淡路大震災慰霊碑に落書きをした少年、佐渡島(葉山奨之)を交番から連れ出した男(椎名桔平)は、春日と名乗った。春日は、佐渡島のふるまいに昔の自分を見たような気持ちになり、語らずにはいられないかった。

崩落した駅。そこで目にした風景。数え切れない涙。傷ついた人々。そしてその駅を建て直した人たちのことを。

 

「六甲道駅」は、大阪と神戸を繋ぐ、言わば橋のような存在。それが大地震で線路ごと崩落した。

建設会社・磐巻組の工事所長、高倉昭(井浦新)は、自問する。

「俺たちにできることはなんだ?」

18歳だった春日は、ビデオカメラを回しながらバイクでうろうろしていたところ高倉に声をかけられ、駅を建て直すまでの記録を撮ることになった。そのビデオカメラにまつわる秘めた後悔を抱えつつ、春日はカメラを回していく。

 

なかでも印象的だったのは、めちゃめちゃになった店を片づける焼き鳥屋の店主、但馬(小市慢太郎)のシーンだ。悲観的な言葉が漏れる彼に、ボランティアの若者が言う。

「やまない雨はない。明けない夜はない」

たまらなくなった但馬は、彼に殴りかかった。

おまえに何がわかる。うわっつらだけのそんなセリフは聞きたくもない。

たぶんそんな気持ちだったのだろう。

いっとき、傷を負った人に「がんばれ」という声かけはよくないと言われた。何かひとつの言葉がよくないというわけじゃない、と、このシーンを観て思った。

どんな言葉でさえ、ただ傷を深くしていく。

そんな場所に置かれた人に、軽々しくかける言葉はたぶん見つからない。

それでも周りに人がいて、だから生きていけるのだ。

 

『BRIDGE』というタイトルには、”もう一度つなげる。過去から明日へ、人から人へ、希望の橋を架けるために”という意味がこめられている。

今日は、1月17日。

阪神・淡路大震災で亡くなった方々のご冥福をお祈りします。

関西テレビ制作。ほかに2つのストーリーをネット配信しているそうです。

COMMENT

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  1. ぱす より:

    24年が、経ちましたね。
    あの朝は今でも音や行動や感覚を忘れられません。

    このドラマは、その前に関西のニュースで六甲道駅の事を取り上げられていて知りました。
    2年はかかると思われていたのに、74日で開通したのですよね。
    駅の大切さ、街が寂れてしまうという思い、こんな事があったのかと思いました。

    横断幕はドラマで出てきましたか?
    こうじの人、気をつけて!と、何か出来る事はないかと白い布で横断幕を作ったおじさんが紹介されていました。
    何かをしたい。突き動かされるのですよね。

    • さえ より:

      ぱすさん
      24年ですね。
      末娘が生まれて3か月だったので、わたしもよく覚えています。
      ぱすさんは、より身近に感じたことでしょう。
      横断幕。出てきましたよ。
      手書きの横断幕に、そこに並んで応援する人たち。
      大阪から来て、帰る家がある工事現場の人たちとの感覚の違いなどでぶるかることもありながら、という感じでした。
      何かしたい。そういう気持ちになるんですね。大切なことですよね。

PROFILE

プロフィール
水月

随筆屋。

Webライター。

1962年東京生まれ。

2000年に山梨県北杜市に移住。

2012年から随筆をかき始める。

妻であり、母であり、主婦であること、ひとりの人であることを大切にし、毎日のなかにある些細な出来事に、様々な方向から光をあて、言葉を紡いでいきたいと思っています。



『地球の歩き方』北杜・山梨ブログ特派員

 

*このサイトの文章および写真を、無断で使用することを禁じます。

 

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