映画『Life』(監督、笠井千晶)を、観た。
津波で家族を亡くした福島のある家族の5年間を追ったドキュメンタリーだ。
福島県南相馬市萱浜(かいはま)地区は、福島第一原子力発電所の北22キロに位置する。2011年3月11日。その沿岸の町を、津波が襲った。
消防団員の上野敬幸さんは、自宅にいた両親と2人の子どもを津波に流され、必死で探していた。そのさなか、福島第一原発が爆発。被ばくから逃れるために避難命令が出され、町はもぬけの殻となる。警察も自衛隊も捜索に来ることはなく、上野さんはひとり、地区で1軒だけ流されずに残った空っぽの我が家を呆然と見つめていた。
福島県で津波の犠牲になった方は、1800人余りにもなるという。
福島っていえば「放射能」日本中がそう思ってる。津波に流された命があって探すこともできない家族がいたなんてこと、誰も知らない。
確かに、わたしもまったく知らなかった。
上野さんは、住めなくなった家の隣りに新しい家を建て、いまだ見つからない3歳だった息子、倖太郎くんの捜索を続けている。そんな生活のなかで、震災当時、妻、貴保(きほ)さんのお腹にいた倖吏生(さりい)ちゃんが生まれ、兄の歳を追いこしていった。流された近隣の家々があった場所には、もう何もない。そこに、妻や友人たちと菜の花を植えることにした。
貴保さんの言葉が、胸に響いた。
子どもたちのことは忘れたくないけど、考え過ぎないようにしています。忘れない。でも考えすぎない。そのバランスをとらないと。
敬幸さんは、何度もこう言っていた。
考えちゃうでしょう、いろいろ。
そのいろいろが、映画のスクリーンから垣間見えるたびに、観ているだけで辛くなる。当時は、妻の辛さを思いやることもできず、ただ息子を探す、という目的があったから生きていられた、とも振り返っていた。
笑顔が、とても印象的な映画だった。上野さんご夫妻、倖吏生ちゃん、家族の捜索を続ける方々。たぶん生きるって、笑うことなんだ。そんなふうに感じた。
☆セリフは記憶している範囲のもので映画そのままではありません。
上映されていたのは、山梨市民会館の会議室でした。
福島県楢葉町の方々が古着のTシャツで編んだ草履を売ってました。購入したのは義援金の一部になるということと、とってもお洒落だったから。
ロゴもシンプルお洒落。裏には作った方の名前が書いてあります。「narahato」
日常的には、あの日が過ぎるとやっぱり忘れがちですね。
福島の事は、自然災害の事だけにはとどまらないから、
もっと、複雑ですね。
忘れない。考えすぎない。
我が子の事を、こんな風に封じ込めないとやっていけないもどかしさ。
やるせないですね。
草鞋。こうした形で貢献できればいいですね。
カラフルで、少しでも前を向けたら・・・と思いますね。
ぱすさん
そうですね。福島の人々の苦しみは、理解できないほど複雑で大きいものなんだとスクリーンから伝わってきました。
お子さんを亡くした方の気持ちは、たぶん、どう想像してもわからないんでしょうね。でも、その気持ちに寄り添って感じたり考えることって、大切なことなんじゃないかと思います。
草履、お洒落でしょう。足にフィットするんですよ~。
随筆屋。
Webライター。
1962年東京生まれ。
2000年に山梨県北杜市に移住。
2012年から随筆をかき始める。
妻であり、母であり、主婦であること、ひとりの人であることを大切にし、毎日のなかにある些細な出来事に、様々な方向から光をあて、言葉を紡いでいきたいと思っています。
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