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はりねずみが眠るとき

昼寝をしながら本を読み、ビールを空けて料理する日々

コブシの花

「ああっ!」

思わず、声を上げてしまった。

「お父さん! お父さん!」

と、大声で夫を呼ぶ。

庭で日曜大工中の夫は手が離せないようだが、次のひと言で駆けつけた。

「コブシの花が、咲いてる!」

 

コブシの小さな苗木を植えたのは、昨年のこと。

大学時代、山歩きのサークルに所属していた夫は、山で観るコブシの花が好きだったらしい。ずっと植えたかったのだがなかなか苗木が見つからず、ご縁がないまま20年近く経ってしまった。昨年見つけた苗木は本当に小さく安価で、根づくかどうか半信半疑で植えたものだ。

それが、花を咲かせている。

開いているのはひとつだけだったが、まだ蕾のようにも見える芽がついている。

 

どうして花が開くまで気づかなかったのだろう。わたしたちがすっかり忘れている様子に、コブシの方が驚かせてやろうと一晩で咲いたのだろうかと考えたりしつつも、笑みが止まらない。丹精込めたなんて言えることは何もしていないのだが、矢鱈とうれしい。脳内にドーパミンがあふれ出ているのがわかる。

咲いたコブシはひとつだが、胸のなかいっぱいに花が咲いたようだ。

春が来るって、ああ、本当に素晴らしい。

ひとつだけ、花開いたコブシの花です。

庭では、まだ細い桜がちらほらと花を咲かせています。

プラムの木も満開。真っ白い花に毎年ハッとさせられます。

プラムの花は、桜とも似ていますね。

雪柳も、咲き揃いました。

これもまた、目にまぶしい白さです。

日陰には、屋根から落ちた雪がまだ残っています。

それでも雪に埋もれたタチツボスミレは、元気に花を咲かせました。

 

COMMENT

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  1. ユミ より:

    小さな花一つ、でもその影響力は大きいですね。
    こんなにも人を幸せな気分にさせるのですね。
    読んでいて、私も嬉しい気持ちのおすそ分けいただきました。
    でもコブシの花って見たことがないかもです。
    千昌夫の北国の春の歌詞に出てくるのを思い出して、今頭の中でリフレインしています。
    さえさんはご主人の事、お父さんって呼んでらっしゃるのね。
    私もそう呼んでいた時期が確かにありました。
    今は何て呼んでいるんだろう?って思わず考えてしまいましたよ。(笑)
    ねえとか、なあとか、名前で呼んでいるのかな?

  2. さえ より:

    ユミさん
    うれしかったです。ありがとうございます。
    コブシは、モクレンに似たモクレンより小さな花をちらほら咲かせる木です。
    モクレンよりも華やかじゃない分、清楚な感じがします。
    歌にもいろいろ歌われているようです。
    お父さん、って呼んでいるんですよ、いまだ(笑)
    呼び方変えようかと、たまに話すんだけどぴんとくるのが見つからなくて。何かへん!と思いながらも継続中です。

PROFILE

プロフィール
水月

随筆屋。

Webライター。

1962年東京生まれ。

2000年に山梨県北杜市に移住。

2012年から随筆をかき始める。

妻であり、母であり、主婦であること、ひとりの人であることを大切にし、毎日のなかにある些細な出来事に、様々な方向から光をあて、言葉を紡いでいきたいと思っています。



『地球の歩き方』北杜・山梨ブログ特派員

 

*このサイトの文章および写真を、無断で使用することを禁じます。

 

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