休日の朝、夫より早く起きたので、火が消えかけたストーブに薪を入れ、のせてあったやかんの白湯をひとり飲んだ。
彼は夜更かしをしたらしく、火はかなり残っていてすぐに炎を上げた。そして、やかんの白湯はまだ熱く、すーっと喉を通り胃に落ちていく熱を感じ、身体が気持ちよく温まるのを感じた。
小さな幸せである。
そこで、小さな悩みが浮上した。
ストーブにかけておいたやかんの湯が、少なくなっている。このままかけておき忘れてしまうと蒸発してしまうかも知れない。だが今水を足すと、夫が起きてきたときに、この熱い白湯を飲ませてあげることができなくなる。最近忘れっぽいし、気がついたときにやらないとこのまま忘れてしまう可能性が高い。
うーむ。考えていると、夫が起きてきた。
「今ね、ちょうど白湯が熱くて美味しいよ」
コップに注いで、手渡す。
わたしの平凡な毎日は、こんな小さな幸せと、小さな悩みで構成されている。
きのうの朝は、薪を入れるとすぐに炎が立ちました。
身体を温めてくれた朝一番の白湯です。
飲み終えたあとの空っぽのコップ。影がきれいでした。
随筆屋。
Webライター。
1962年東京生まれ。
2000年に山梨県北杜市に移住。
2012年から随筆をかき始める。
妻であり、母であり、主婦であること、ひとりの人であることを大切にし、毎日のなかにある些細な出来事に、様々な方向から光をあて、言葉を紡いでいきたいと思っています。
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