隣りの林から降ってきた落ち葉を、少しずつ片づけている。
ちょうど玄関の前が吹き溜まりになっているのだ。
まずそれをかき集め、隣りの林との境界線まで運ぶ。それから、石垣に溜まった落ち葉をかき出した。
すると、石垣のあちらこちらから、スミレの葉が顔を出した。
最低気温が零下となり、すでに枯れて眠っているかと思えば、まだ濃い緑の葉をつけている。落ち葉の布団をかぶり、ぬくぬくと眠っていたようだ。
その姿を見て、パッと胸のなかに花が咲いたような気がした。しかし。
「落ち葉、かぶったままの方がよかったのかな?」
ハナミズキを剪定中の夫に言うと、首を振った。
「落ち葉がなくなったらなくなったで、考えるだろ」
たしかにスミレは強く、毎年少しずつ増えている。
空気は冷たいが、久しぶりに陽を浴び風に触れたスミレたちは、気持ちよさそうに伸びをしているようにも見えた。
生きていくために、凍った冬、自ら水分をとることを拒み、葉を枯らしていく木々たち。スミレもまた、そうして春まで眠るのだろう。
どんな夢を、見るのだろう。冬の初めに陽の光を浴びたことを、風に吹かれたことを、思い起こすこともあるのだろうか。
約1時間ほどで集めた落ち葉です。汗かいた~
落ち葉の下から顔を出した、タチツボスミレの葉っぱです。
庭のあちこちに咲いていたのを、玄関の石段に集めて植えたので、ここにもそこにも顔を出していました。
いっぱい集まっているところもあります。
狭いところでがんばっている子もいます。
まだまだ葉っぱが散らばった玄関側の石垣です。
随筆屋。
Webライター。
1962年東京生まれ。
2000年に山梨県北杜市に移住。
2012年から随筆をかき始める。
妻であり、母であり、主婦であること、ひとりの人であることを大切にし、毎日のなかにある些細な出来事に、様々な方向から光をあて、言葉を紡いでいきたいと思っています。
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